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夫婦財産制 ふうふざいさんせい

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

夫婦財産制
ふうふざいさんせい

婚姻している者の所有物に関する法的取扱い。日本では,夫婦財産契約 (夫婦間の契約) によって夫婦間の財産関係を自由に定めうることになっている (契約財産制。民法 755) が,婚姻届け出前に締結しなければならないうえ,届け出前に登記をしないと相続人や第三者に対抗できず,届け出後には内容の変更ができない (756条) など不自由な点が多いので,ほとんど行われることがない。

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デジタル大辞泉の解説

ふうふ‐ざいさんせい【夫婦財産制】

夫婦間の財産に関して規律する制度。夫婦財産契約を認め、婚姻の当事者が契約で自由にその財産関係を定める契約財産制と、法律の規定によって定める法定財産制とがある。

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百科事典マイペディアの解説

夫婦財産制【ふうふざいさんせい】

婚姻によって生ずる夫婦間の特殊の財産関係を規制する制度。夫婦は婚姻の届出前に任意の契約をして登記をすることにより夫婦間の財産関係を任意に定めることができるが,これをしなかった場合には,次のような法定財産制による(民法755条以下)。
→関連項目財産分与夫婦

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世界大百科事典 第2版の解説

ふうふざいさんせい【夫婦財産制】

夫婦は長期にわたり物心ともに緊密な協力関係を継続するので,夫婦間の経済的関係は他人間の協力の場合とは異なる法規制を必要とする。これが夫婦財産制である。
[夫婦財産制のおもな類型]
 日本には,この意味の夫婦財産制の思想はなかったといってよいが,欧米諸国は古くから夫婦財産制に関する多様な伝統を伝えており,その法制を受け継いだ国が多い。一般に,当事者は婚姻締結時(もしくは婚姻中)にみずから夫婦財産契約を取り結ぶことができるが,そうでない限りは法の定める財産制(法定財産制)に従う。

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大辞林 第三版の解説

ふうふざいさんせい【夫婦財産制】

婚姻によって夫婦間に生ずる財産関係を規律する制度。契約により定める夫婦財産契約と法律の規定により定める法定財産制がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

夫婦財産制
ふうふざいさんせい

夫婦の財産関係に関する法制度をいう。
 父権的(家父長的)な家族制度の下では、妻は夫の支配と庇護(ひご)に服するため、夫婦の財産関係を法律で定めることはなかった。しかし、経済的および思想的に、妻の独立の地位が確認されるようになると、夫婦の財産関係をどのように規律すべきかが大きな問題となった。そして、ヨーロッパ各国の立法では、財産の帰属に従い、次の三つの形態がとられた。すなわち、すべて夫の財産となる財産吸収制、夫婦の共有とする財産共有制、および、各自の財産をそれぞれが所有する別産制である。これに加えて、財産の管理権の所在に従って、(1)夫に妻の財産を管理させる、(2)共同管理とする、(3)別々の管理とする、という三つの形態がある。これらの組合せによって多数のタイプの夫婦財産制が可能であるが、基本的には、別産制であり、かつ、各自がその財産を管理するという形態が現在の主流である。日本民法も、第762条1項において、「夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産とする」と規定し、夫婦別産の原則を明らかにする。ここにいう「特有財産」とは、各自の財産という以上の意味はなく、自分が持参した嫁入り道具・相続した財産・給料などが含まれる。そして第762条2項では「夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する」としている。
 ところで、婚姻しようとする男女は婚姻後の夫婦の財産関係を自由に定めることができる(夫婦財産契約)が、なんらの定めをもしなかったときは、民法の定める夫婦財産制(法定財産制)が適用される(民法755条)。[石川 稔・野澤正充]

夫婦財産契約

この契約は、婚姻しようとする男女が婚姻届を出す前に締結し、その旨を登記しなければ、夫婦以外の者に対して、かかる契約が結ばれていることを主張することはできない(同法756条)。また婚姻後は契約内容を変更することは原則として許されない(同法758条)。日本ではこの契約が結ばれることはほとんどない。[石川 稔・野澤正充]

法定財産制

民法の定める夫婦財産制は、前述のとおり、夫婦それぞれの財産はそれぞれの所有財産であって、それぞれが管理・収益すべきものとされている。
(1)夫婦の一方が婚姻前から有した財産や、婚姻中に自己の財産から支出することによって自分の名前で得た財産は特有財産、すなわちその者の所有財産とされる。そして、いずれの所有財産か明らかでない財産や、一方の名義になっていても実際には夫婦双方の所有とみられるべき財産(たとえば、家計から支出され購入された家具・家財や生活資金としての預金や夫婦の協力で取得した住宅など)は共有財産と推定される(同法762条)。
(2)生活費、子供の養育費、教育費、医療費など夫婦が共同生活を営んでいくために必要な費用は、夫婦双方の資産・収入その他いっさいの事情を考慮して分担する(同法760条)。分担するといっても、サラリーマンの妻のように無収入・無資産であれば、全額夫が負担することになる。分担義務は別居中であってもなくならない。
(3)夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と取引をした場合には、他方も連帯して責任を負う(同法761条)。日常の家事とは、夫婦の共同生活に必要ないっさいの事項、たとえば日用品の購入、教育費・燃料費の支出、家賃の支払いなどをいう。日常の家事に属さない取引については取引行為をした者だけが責任を負う。また日常の家事に属する取引でも、他方が責任を負わない旨を取引の相手方に予告してあれば、連帯責任を負わない(同法761条但書)。[石川 稔・野澤正充]

国際結婚における夫婦財産制

国際結婚においては、夫婦財産制に日本法が適用されるとは限らない。諸外国の法律は、夫婦財産契約の締結時期、変更の許否などについて異なり、また、法定財産制についても別産制、共有制などの違いがある。実際の生活においても、日本では夫婦財産契約が締結されることはきわめて少ないが、フランスのように、過半数の夫婦が夫婦財産契約を締結する国もあるといった違いがみられる。
 日本の国際私法典である「法の適用に関する通則法」(平成18年法律第78号)では、第26条に夫婦財産制の準拠法が規定されている。それによれば、夫婦の国籍や常居所などに基づいて準拠法が定められることとされ(段階的連結)、夫婦が一定の方式で一定の法律のなかから準拠法を決めておけば(限定的当事者自治)、それが優先される。また、夫婦財産制の準拠法が外国法となる場合には国内でその夫婦と取引をする第三者の予想に反する結果となりかねないので、取引の安全のため、一定の第三者は保護されることとされている(内国取引保護)。なお、婚姻費用の分担や日常家事債務の連帯責任の問題は、国際私法上は婚姻の身分的効力(法の適用に関する通則法25条)とみる見解もあるが、夫婦財産制の一内容とみるべきであろう。[道垣内正人]
段階的連結
まず、夫婦財産制について夫婦による準拠法の選択のない場合には、次のような段階的連結の方法により準拠法が定められる。第1段階では、夫婦の本国法が同一であるか否かがチェックされ、同一であればその法律(同一本国法)が準拠法とされる。この場合、重国籍の者については、国籍を有する国のうち常居所を有する国があればその国の法律、そのような国がなければ当事者にもっとも密接に関係する国を具体的状況のもとで判断し、その国の法律がその者の本国法とされる(法の適用に関する通則法26条1項)。なお、無国籍者の場合にはこの第1段階は成立しないものとして扱われる(同法38条2項但書)。次に、夫婦の本国法が同一でない場合には、第2段階として、常居所地法が同一であるか否かがチェックされ、同一であればその法律(同一常居所地法)が準拠法とされる。最後に、第3段階として、同一本国法も同一常居所地法もない夫婦については、婚姻挙行地や財産所在地などを考慮して具体的状況のもとで夫婦にもっとも密接な関係のある地の法律による。以上の段階的連結によれば、客観的に準拠法は定まるが、次の当事者による準拠法指定がある場合にはそちらで定められる法が優先して準拠法とされる。[道垣内正人]
限定的当事者自治
一般の契約の場合には当事者による準拠法指定が認められているが(当事者自治)(法の適用に関する通則法7条)、夫婦財産制の準拠法決定については、夫婦財産制が家族法にかかわる問題であるため、かつては当事者自治は認められていなかった。しかし、夫婦財産制には財産法的な性格もあり、夫婦財産制に適用される準拠法を固定化し、国籍や常居所などの変動によって夫婦財産制の準拠法が変更してしまうことがないようにしたいとのニーズもあり、現在では日本の国際私法でも限定的な形ではあるものの、当事者自治が認められている。これは、1978年にハーグ国際私法会議で作成された「夫婦財産制の準拠法に関する条約」(日本は未批准)や諸外国の近時の国際私法立法の傾向と一致するものであり、国際私法は統一されるべきであるとの理念にも沿うものである。
 もっとも、一般の契約とは異なり、夫婦財産制の問題状況にはある程度の共通性がみられるため、最密接関係地法を適用すべきだという国際私法の基本目的に配慮して、選択できる準拠法の候補には限定がつけられている(法の適用に関する通則法26条2項)。すなわち、選択できる準拠法の範囲は、夫婦の一方が国籍を有する国の法律(同法26条2項1号)、夫婦の一方の常居所地法(同2号)、および不動産に関する夫婦財産制についてはその不動産の所在地法(同3号)のいずれかでなければならない。この第3号は、不動産が各国に散在しているときには、それぞれをその所在地法によらしめることを認めるものである。
 この準拠法選択は夫婦財産契約とともになされることが多いであろうが、選択した準拠法上の法定財産制によることも排除するわけではない。また、選択の時期についても制限はない。この準拠法選択の合意は、日付および署名のある書面によってなすべきことが規定されている。[道垣内正人]
内国取引保護
以上の規定によって夫婦財産制の準拠法が外国法とされ、日本法と異なる制度が適用されると、日本での法律行為によって、あるいは日本にある財産についてその夫婦と取引する第三者にとっては、日本法上の夫婦財産制が適用されないことは不意打ちとなる。たとえば日常家事債務は夫婦の連帯責任とすると規定している日本民法第761条とは異なり、夫婦財産制の準拠法とされる外国法上、一方の配偶者の日常家事債務について他方の配偶者が連帯責任を負わないとされているとすれば、日本法を前提とした取引をしている第三者には思わぬ事態となりうるであろう。そこで、取引の安全を保護するため、日本でなされた契約や日本にある財産については、外国法による夫婦財産制を善意の第三者には対抗することができないこととしている(法の適用に関する通則法26条3項)。「善意」とは知らないという意味であるが、その夫婦の国籍や常居所が外国であることを知っていれば、法の適用に関する通則法第26条やそれによって適用されるとされる外国法の内容を知らなかったからといって、保護されるわけではないとされている。法を知らなかったという言い訳は認めないという趣旨である。また、「対抗」できないとされているので、第三者の側で外国法による夫婦財産制が適用されることがかえって有利であると判断すれば、そのまま外国法によることになる。そして、第三者が外国法によることを受け入れなければ、日本法によることになる。
 他方、日本人夫婦の日本での法律行為であっても、その夫婦が法定夫婦財産制と異なる内容の夫婦財産契約を締結し、これを民法第756条の定めに従って登記している場合には夫婦の承継人および第三者に対抗できるとされているのであるから、取引をする者は、夫婦財産契約の登記をチェックすることが法律上予定されている。そのことを踏まえて、外国法に基づく夫婦財産契約を締結している場合にも、これを日本で登記しておけば、第三者にも対抗できる(法の適用に関する通則法26条4項)。夫婦財産契約をしている場合に限定され、外国法上の法定財産制については登記して第三者に対抗するという途(みち)を認めていないのは、判例法を含む外国法の内容を登記簿に記載することは困難であり、法改正があった場合などつねに最新の外国法の内容を反映させることは不可能に近いからである。[道垣内正人]

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世界大百科事典内の夫婦財産制の言及

【婚姻】より

…またドイツの採る剰余共通制(婚姻中に増えた夫婦それぞれの財産を互いに分配するもの)も,基本的には参与制と考えを同じくしている。しかし日本にはこのような慣行がなかったため,1979年に行われた相続法の改正のさいには,夫婦財産制の改正も考えられないではなかったけれども,別産制をそのまま維持することにして,配偶者の相続分を引き上げるという方法によって妻の老後の生活の安定をはかることにし,諸外国の夫婦財産制が企図するところとほぼ同じ結果を目ざすことになった。配偶者の相続分の引上げは,別産制の欠陥を是正するという目的ももっているのである。…

【相続】より

…たとえば,フランスでは,配偶者は直系卑属,兄弟姉妹,直系尊属によって排除されるのに対して,日本ではつねに相続人としてそれらの者と競合する地位におかれている。両者のちがいは,主として夫婦財産制のしくみのちがいに由来している。フランスでは,法定財産制である後得財産共通制に服する場合に,婚姻中夫婦のいずれかが有償で得た財産は婚姻解消時に折半されるため,たとえば,夫が死亡すると妻は相続に先立って共通財産の2分の1を取得する。…

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