筑前物(読み)ちくぜんもの

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「筑前物」の意味・わかりやすい解説

筑前物
ちくぜんもの

筑前国 (福岡県) の刀工による刀剣。刀剣史上では,鎌倉時代初期の良西をもって筑前刀工の祖とする。『古今銘尽』その他の系図によると,文暦期の良西,その子孫の西蓮,入西,実阿,左らが知られ,そのうち良西,西蓮,入西,実阿の作品はきわめて少く,作柄は九州物に共通の古典的なものである。しかし実阿の子と伝えられる左 (銘に左の1字を切るのは左衛門三郎の略という) はいわゆる「正宗十哲」の一人で,相州物作風を出した。南北朝時代の筑前は左一派の刀工によって隆盛をきわめ,いずれも在銘の作品が現存する。室町時代になると筑前金剛兵衛盛高一派の時代となる。『銘鑑』では古く伝えているが,現存の作では応永 (1394~1428) 年紀のものが最古のようである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android