軍防令(読み)ぐんぼうりょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「軍防令」の意味・わかりやすい解説

軍防令
ぐんぼうりょう

古代律令(りつりょう)の編目の一つ。軍団兵制、衛士(えじ)・防人(さきもり)などの編成、指揮、軍規などを規定。中国では隋(ずい)の開皇令が最初。日本では大宝(たいほう)令(701)がおそらく最初のものとみられるが、大宝軍防令は現存していない。『令集解(りょうのしゅうげ)』も軍防令を散逸し、わずかに『令義解(りょうのぎげ)』紅本書入れ、『令抄』『政事要略』『西宮記(さいぐうき)』裏書きなどから断片をうかがうのみである。養老(ようろう)令(718)の軍防令は全76条。はたして現存の養老軍防令と大宝軍防令との異同がどの程度かは不明である。また、唐招提寺(とうしょうだいじ)から軍防令の注釈書の断簡が発見されたが、現行養老軍防令と字句の異なる点が指摘されている。

[野田嶺志]

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世界大百科事典(旧版)内の軍防令の言及

【兵士】より

…基本任務は国府,兵庫,鈴蔵,関剗など国内要害の地の衛守であったが,そのほか修理(兵庫,城隍,器仗,堤防),防援(蕃使,囚徒,軍物),追捕,行幸護衛,官船看守などの雑使と武芸訓練が課せられた。律令の兵事に関する規定である軍防令は,体系的なものでは養老令が現存しているが,唐軍防令との比較において基本的相違が指摘される。それは,唐令が〈衛士〉に関する規定を中心にしているのに対して,日本令が衛士の用語を兵士と改めている点である。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」