《イーワイン》(読み)いーわいん

世界大百科事典(旧版)内の《イーワイン》の言及

【ドイツ文学】より


[叙事詩の盛衰]
 中世高地ドイツ語の時期(11~14世紀)には,シュタウフェン朝による中世の政治体制が完成,これに応じて騎士階級が新たな文化の担い手となり,伝承のゲルマン英雄伝説のうえにキリスト教文化,古典古代の文化,プロバンス宮廷文化,イスラム宮廷文化,北方神話圏文化などが合流してドイツ中世文学が生み出された。宮廷で口誦された叙事詩は,素材の点で(1)アウエのハルトマンの《イーワイン》やエッシェンバハのウォルフラムの《パルチファル》のように,アーサー王と円卓の騎士の伝説を中心にしたもの,(2)ゴットフリートの《トリスタンとイゾルデ》のようにトリスタン伝説を扱ったもの,(3)《ニーベルンゲンの歌》や《クードルーン》のように,ゲルマン伝説から生じたものなどの系統に分類できるが,個々のものはいずれも強い混合形態を示している。残存する写本が最も多い《パルチファル》は,当時最も愛好された作品と目される。…

【ハルトマン】より

…この時期に彼は世俗と愛(ミンネ)に決別する抒情詩,そして十字軍参加(1189‐91)の所産の十字軍遠征の歌を書いた。《イーワインIwein》は1199‐1205年に書かれたが,8000余行の最初の1000行は《グレゴリウス》執筆の前か後に書かれたと推定されている。《イーワイン》と《エーレク》は,アーサー王物語で,いずれもクレティアン・ド・トロアの翻案で,これを初めてドイツに移入した。…

※「《イーワイン》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」