「ジミーの世界」事件(読み)ジミーのせかいじけん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「「ジミーの世界」事件」の意味・わかりやすい解説

「ジミーの世界」事件
ジミーのせかいじけん

アメリカ合衆国の『ワシントン・ポスト』紙が 1980年9月28日付の朝刊 1面に掲載したジャネット・クック記者の署名記事「ジミーの世界」Jimmy's worldが 1981年のピュリッツァー賞受賞したが,8歳のヘロイン中毒の少年を扱ったその潜入ルポルタージュがまったくの虚報であったという事件。受賞がきっかけとなってクック記者の経歴詐称発覚,この記事にも疑いがもたれ,ワシントン・ポスト社はオンブズマン(→新聞オンブズマン)のビル・グリーンによる徹底した調査を実施,報告書を同 1981年4月19日付紙面に掲載し,読者に謝罪した。報告書には,入社 1年目の若い野心家の女性記者の記事捏造の経過と,それを許した『ワシントン・ポスト』内部の状況を分析した結果がすべて実名で克明に記述された。『ワシントン・ポスト』は賞を辞退し,クック記者は職を辞した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android