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ルポルタージュ reportage

翻訳|reportage

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ルポルタージュ
reportage

フランス語で報道,報告の意味で,社会事象を忠実に記録,叙述する文学形式あるいは報告記事をいう。ルポルタージュという形式は 19世紀以後複雑化する社会情勢のなかで新即物主義運動 (→ノイエ・ザハリヒカイト ) などに影響されながら,ジャーナリズムの発達とともに世界に広がっていった。ルポルタージュの世界的古典としては,J.リードの『世界をゆるがした十日間』 (1919) をはじめ,E.スノーの『中国の赤い星』 (37) ,G.オーウェルの『カタロニア賛歌』 (38) などがある。

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デジタル大辞泉の解説

ルポルタージュ(〈フランス〉reportage)

新聞・雑誌・放送などで、現地からの報告。ルポ。
第一次大戦後に生まれた文学の一ジャンルで、社会的な事件などを作為を加えずに客観的に叙述するもの。報告文学。→記録文学

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百科事典マイペディアの解説

ルポルタージュ

もともとはフランス語reportageで〈探訪〉の意。新聞,雑誌,放送などにおける現地報告の記事や映像。ふつうは,短い記事よりも中・長編のものをいう。事実に基礎をおき,記録・報告に重点をおいているが,結果としてすぐれた文学ともなりうる。
→関連項目横山源之助

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世界大百科事典 第2版の解説

ルポルタージュ【reportage】

新聞,雑誌,放送などにおける現地からの報告で,元来はフランス語で〈探訪〉を意味する。略して〈ルポ〉ともいう。テレビ・ルポ,フォト・ルポルタージュという言葉が示すように映像的なものも含まれるが,それについては〈ドキュメンタリー映画〉〈ドキュメンタリー写真〉の項目を参照されたい。ルポルタージュの語はノンフィクションと同義的に用いられる場合もあるが,後者のほうが包括的な概念で,ルポルタージュはそれに含まれるものの,ジャーナリズムのなかに位置づけるのが妥当であろう。

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大辞林 第三版の解説

ルポルタージュ【reportage】

(新聞・放送などで)現地報告、または報告文。ルポ。
記録文学 」に同じ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ルポルタージュ
るぽるたーじゅ
reportage

ルポルタージュはフランス語で報道、現地報道を表し、現場に赴いての、そこからの現地報告、現地報道を意味する。古くは「探訪」と訳された。第一次世界大戦後に、新しい文学ジャンルとしてヨーロッパで形成されたもので、日本には第二次世界大戦後に受容され、ルポルタージュ(略してルポ)作品、ルポ・ライターといった造語がつくられた。しかし、太平洋戦争時には、『文芸春秋』などの総合雑誌が、戦場からの「現地報告」の特集号、臨時増刊号を発刊しており、多くの「戦場」からの「ルポルタージュ」を掲載した。だから、ルポルタージュは実質的には戦前・戦中から日本においても書かれていたといってよい。
 日本でルポルタージュ文学が話題になったのは、岡村昭彦(1929―85)の『南ヴェトナム戦争従軍記』(1965)や開高健(かいこうたけし)の『ベトナム戦記』(1965)など、一連のベトナム戦争についてのルポルタージュが書かれた1960、70年代だった。近藤紘一(1940― )の『サイゴンから来た妻と娘』(1978)などの「サイゴン」ものや、小倉貞男(1933― )のベトナム、カンボジアについての報告などがそれに続いた。
 海外紀行も一種のルポルタージュ文学といえるだろう。小田実(まこと)の『何でも見てやろう』(1961)から始まり、北杜夫(もりお)の『どくとるマンボウ航海記』(1960)、藤原新也(1944― )の『全東洋街道』(1982~83)や、沢木耕太郎(1947― )の『深夜特急』(1986)に至る、好奇心旺盛(おうせい)な、放浪といってもよい海外の旅の報告は、文化人類学者の一般向けの報告書としても書かれ、梅棹(うめさお)忠夫の『モゴール族探検記』(1956)、畑中幸子(ゆきこ)(1930― )の『太平洋の環礁にて』(1988)、原ひろ子(1934― )の『ヘヤー・インディアンとその世界』(1989)など、多くの読者をつかんだ。
 取材方法がフェアかアンフェアかで話題となった鎌田慧(さとし)(1938― )の『自動車絶望工場』(1973)は、潜入ルポといった手法を生み出し、工場、原子力発電所、ヤクザ、宗教教団、風俗営業の世界などへの潜入ルポが多く試みられるようになった。久田恵(めぐみ)(1947― )の『フィリッピーナを愛した男たち』(1989)や家田荘子(いえだしょうこ)(1958― )の『私を抱いてそしてキスして』(1990)などは、潜入ルポという言い方にはそぐわしくないかもしれないが、単なる取材ではない、関与取材、体験ルポといった分野を切り開いたものといってよいだろう。ドキュメンタリー(記録文学)、ルポルタージュ(報告文学)ともに、現在ではノンフィクション文学という広い範疇(はんちゅう)に包摂され、文学の世界は大きくフィクション―ノンフィクションに大別され、ルポルタージュ、ドキュメンタリーというのは、ノンフィクションの下部の分類として使用されることになるだろう。[川村 湊]
『岡村昭彦著『南ヴェトナム戦争従軍記』(ちくま文庫) ▽開高健著『ベトナム戦記』(朝日文庫) ▽近藤紘一著『サイゴンから来た妻と娘』(1978・文芸春秋) ▽小倉貞男著『物語 ヴェトナムの歴史――一億人国家のダイナミズム』(中公新書) ▽小田実著『何でも見てやろう』(講談社文庫) ▽北杜夫著『どくとるマンボウ航海記』(新潮文庫) ▽藤原新也著『全東洋街道』(集英社文庫) ▽沢木耕太郎著『深夜特急1~6』(新潮文庫) ▽梅棹忠夫著『モゴール族探検記』(岩波新書) ▽畑中幸子著『南太平洋の環礁にて』(岩波新書) ▽鎌田慧著『自動車絶望工場――ある季節工の日記』(講談社文庫) ▽原ひろ子著『ヘヤー・インディアンとその世界』(1989・平凡社) ▽久田恵著『フィリッピーナを愛した男たち』(1989・文芸春秋) ▽家田荘子著『私を抱いてそしてキスして――エイズ患者と過ごした一年の壮絶記録』(1990・文芸春秋) ▽日外アソシエーツ編・刊『ノンフィクション・ルポルタージュ図書目録(1945~85)』(1994・紀伊國屋書店発売)』

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