ワシントン・ポスト(英語表記)The Washington Post

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ワシントン・ポスト
The Washington Post

アメリカ合衆国のワシントンD.C.で発行されている朝刊紙。『USAトゥデイ』(→ガネット),『ウォール・ストリート・ジャーナル』『ニューヨーク・タイムズ』『ロサンゼルス・タイムズ』などに次ぐ発行部数をもつ有力新聞。編集方針は国際主義的で,格調の高い論説は内外に影響力をもつ。1877年,S.ハッチンズ民主党系の新聞として創刊。第1次世界大戦後に一時経営が悪化したが,1933年ユージン・マイアーが引き取ってからは F.モーリー,H.エリストンらの名編集長を得て急速に発展。また 1963年以降,マイアーの娘キャサリン・グラハムのもとで発行部数を増やし,屈指の有力紙としての地位を確立した。1973年のウォーターゲート事件の報道による受賞など,60回以上ピュリッツァー賞を受賞している。1990年代にはインターネットでの事業展開を進めたが,業績の低迷により 21世紀に入ってからリストラクチャリングに着手。2013年8月,ワシントン・ポスト社の新聞事業は,アマゾン・ドット・コムの創業者で最高経営責任者 CEOのジェフリー・ベゾス個人に 2億5000万ドルで売却された。

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百科事典マイペディアの解説

ワシントン・ポスト

米国の日刊紙。1877年創刊。1933年銀行家マイヤーに買い取られ,以後マイヤー家は,この新聞を高級言論紙とする一方,いくつかの放送局,テレビ局を買収,《ニューズウィーク》誌も傘下に収めた。特定の政党色をもたず,リベラルな論調を伝統とする。ウォーターゲート事件の報道でピュリッツァー賞。発行部数約76万部,日曜版108万部(1998)。

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デジタル大辞泉プラスの解説

ワシントン・ポスト

アメリカの作曲家ジョン・フィリップ・スーザの吹奏楽のための行進曲(1889)。原題《The Washington Post》。アメリカの新聞『ワシントン・ポスト』が催した児童作文コンテストの表彰式のために作曲された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ワシントン・ポスト
わしんとんぽすと
The Washington Post

アメリカ合衆国の首都で発行されている有力朝刊紙。1877年ハッチンズStilson Hutchinsによって創刊され、発行者が二度かわったのち、1930年経営不振で競売に付されたところを銀行家マイヤーEugene Meyerに買い取られた。以降、順調に業績が回復した同紙を、マイヤーの女婿フィリップ・グラハムPhilip Grahamが引き継ぎ、1954年には競争紙『タイムズ・ヘラルド』、1961年には週刊誌『ニューズウィーク』を買収するなど事業を拡張、有力紙としての地歩を固めた。しかし、1963年フィリップが自殺、経営は夫人キャサリンKatharine Grahamの手にゆだねられた。1973年にポスト社の会長兼最高経営責任者(CEO)に就任したキャサリンはアメリカ新聞界の発展に貢献するとともに『ポスト』紙を一流紙に育てた。息子ドナルド・グラハムDonald Grahamは1979年に発行人に就任。その後ドナルドは1991年にポスト社のCEO、1993年に会長職を引き継いだ。また2008年2月より孫娘のキャサリン・ウェイマスKatharine Weymouthがポスト紙発行人を務める。
 2011年時点で、販売部数は平日版約51万部、日曜版約85万部(地域版等を含む)。その論調はアメリカ政府・議会に大きな影響力をもつ。とくに、同紙の名声を世界的に高めたのは、1972年、2人の若手記者(B・ウッドワード、C・バーンスタイン)によるウォーターゲート事件の取材・報道である。同紙が情報源の秘匿を貫いた姿勢と、ニクソンを大統領辞任に追い込んだ報道キャンペーンの力は、アメリカン・ジャーナリズムが一つの頂点を極めたものといわれる。また、この事件で調査報道investigative reportingの分野が確立された。なお、ウォーターゲート事件で同紙に極秘情報を伝えた「ディープスロート」とよばれる政府高官は、当時の連邦捜査局(FBI)副長官のマーク・フェルトMark Feltだったことが、『バニティー・フェア』誌(電子版)の2005年5月31日の報道で明らかになり、『ポスト』紙も同年6月1日付紙面で認めた。
 一方、首都ワシントンで8歳の少年が3代にわたってヘロイン中毒となっていることを報じた1980年9月28日付記事「ジミーの世界」が、翌年、ピュリッツァー賞を受賞した直後に虚報であることが発覚し、受賞辞退となる事態に発展した。これは同紙の歴史上、最大の汚点となっている。同紙は、社内オンブズマン(記事審査員)によって捏造(ねつぞう)記事の掲載過程と編集上のチェック機能の問題点につき詳細な調査・分析を行い、これを公表することで信用回復に努めた。
 ワシントン・ポスト社の報道事業は21世紀に入ってからもさまざまな展開をみせている。ニューヨーク・タイムズ社との折半出資により国際英字紙『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』の全持ち株を海外戦略の強化をねらうニューヨーク・タイムズ社の要求に屈して2002年10月に売却した。また1933年に創刊され『タイム』誌とともに世界的な知名度をもつニュース雑誌『ニューズウィーク』を、アメリカの音響機器メーカーの創業者シドニー・ハーマンに2010年9月に売却した。一方、大手新聞社による無料紙発行が相次ぐなかで、ポスト社は2003年8月、新聞閲読頻度の低い18~34歳の読者層向けの無料タブロイド日刊紙『エクスプレス』を創刊した。[大日向建三]
『ワシントン・ポスト編、齋田一路訳『ウォーターゲートの遺産』(1975・みすず書房) ▽キャサリン・グラハム著、小野善邦訳『キャサリン・グラハム わが人生』(1997・TBSブリタニカ)』

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