『へうげもの』と異色歴史マンガ(読み)へうげものといしょくれきしまんが

知恵蔵 の解説

『へうげもの』と異色歴史マンガ

希代の芸術愛好家として陶器や茶の湯の歴史の中に名を残すが、武辺の時代であった戦国の世では、ひとりの脇役にすぎなかった古田織部。この異色の武将にスポットを当て、数寄への執着と我欲に生きた「俗の極みの傑物」に仕立てたのが山田芳裕『へうげもの』(講談社)だ。この作品中では信長秀吉も数寄の尺度によって計られている。惣領冬実『チェーザレ』(講談社)は、イタリアで出版されたチェーザレ・ボルジアの新評伝にのっとって、「権謀術数の男」の真の姿に迫る。また、岩明均は狡知(こうち)に富んだアレクサンドロス大王の書記官エウメネスの波瀾万丈(はらんばんじょう)の生涯を『ヒストリエ』(講談社)というマンガで記録しようと試みている。いずれも、大向こう受けする英雄中心の歴史観の中では埋もれてきた人たちだ。共通するのは、持って生まれた性向をわがままに押し通したこと。感情のドラマを誇張して描くことを得意とするマンガにとっては、表現しやすい人物像ではあろう。

(鈴木繁 朝日新聞記者 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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