日本歴史地名大系 の解説
アイヌ語入門・地名アイヌ語小辞典
アイヌごにゆうもん・ちめいアイヌごしようじてん
各一冊 知里真志保著 昭和三一年刊 楡書房
解説 アイヌ出身のアイヌ語学者である知里真志保が著した、アイヌ語地名研究に関わる姉妹書。「アイヌ語入門」は副題に「とくに地名研究者のために」が添えられており、編纂の目的を知ることができる。とりわけ第一部を「地名研究者のために」として、第一章語形と意義について、第二章音韻と語法について、第三章古代人のこころ、第四章メイ(?)著「北海道蝦夷語地名解」としており、アイヌ語地名研究に携わるためには基礎的ではあるがきわめて重要な内容となっている。「地名アイヌ語小辞典」は「アイヌ語入門」を受けて編纂されたもので、「地名研究者だけではなく、一般のアイヌ語研究者にとっても手頃な辞書」となっている。この辞書が日本各地のアイヌ語に由来する地名に関心をもつ人びとから歓迎されたことはいうまでもない。しかし、知里真志保の意に反して、「アイヌ語入門」を読むこともない人びとによって恣意的に利用されたことも事実である。地名研究家にとってこの辞書は諸刃の剣でもある。「アイヌ語入門」は知里真志保著作集四、「地名アイヌ語小辞典」は三に収録されている。知里真志保のアイヌ語学およびアイヌ語地名研究に関しては知里真志保著作集は必読である。「地名アイヌ語小辞典」は昭和五九年、「アイヌ語入門」は同六〇年復刻。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報