アジア集団安全保障構想(読み)アジアしゅうだんあんぜんほしょうこうそう(英語表記)idea of collective security in Asia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アジア集団安全保障構想」の意味・わかりやすい解説

アジア集団安全保障構想
アジアしゅうだんあんぜんほしょうこうそう
idea of collective security in Asia

1969年6月7日の世界共産党会議でソ連の L.I.ブレジネフ共産党書記長が示したアジアにおける集団安全保障体制樹立の構想をさす。このとき具体的な内容は明らかにされなかったが,各国は,ソ連のねらいは中国の勢力拡大阻止にあるとの見方をした。その後 72年3月,同書記長はアジア集団安保の5原則として,武力行使放棄主権尊重国境不可侵内政不干渉,平等・互恵に基づく経済,その他協力関係の発展を列挙し,73年8月には A.N.コスイギン首相が,これに民族自決,領土併合の禁止,国際紛争の平和的解決,天然資源に対する主権尊重,社会・経済的変革の権利を加えた。この構想は,これまでのところ実現にいたっていないが,ソ連のゴルバチョフ共産党書記長が 86年7月のウラジオストク演説で,太平洋に面するすべての国が参加する全欧州安全保障協力会議 CSCE型の太平洋会議を提案したように,アジア・太平洋地域の構築に向けてさまざまな安保構想が提起されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android