アスワン遺跡(読み)アスワンいせき(その他表記)Aswān

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アスワン遺跡」の意味・わかりやすい解説

アスワン遺跡
アスワンいせき
Aswān

エジプト,ナイル川第1急流のアスワンを中心とした古代エジプトの遺跡群。アスワンは古王国時代からヌビア支配の根拠地として栄え,ヌビアの金,毛皮,香料,奴隷などがファラオの手に流れた。トゥトモス3世,ラムセス2世,アレクサンドロス2世の神殿やナイル川の水位をはかるナイロメーターのあるエレファンティン島,イシス神殿のあるフィラエ島,ナイル左岸の古王国時代から中王国時代の地方豪族の墓群,ナイル右岸の「切りかけのオベリスク」と「オシリス像」がある2つの石切り場などが,そのおもな遺跡である。アスワンダムと 1970年に完成したアスワン・ハイダムによって,アスワンからスーダン領第3急流にいたる数多くの遺跡が水没するところとなった。これに先立ってエジプトとスーダン政府はユネスコに呼びかけ,各国調査隊の協力により,65年までにアスワンから上流の水没地域で,先史時代からビザンチン時代にいたる莫大な遺跡を発掘調査した。フィラエ島のイシス神殿も,また著名なアブシンベル神殿同様に別の場所へ解体移築された。

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