あずま言葉(読み)あずまことば

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「あずま言葉」の意味・わかりやすい解説

あずま言葉
あずまことば

上代において遠江 (とおとうみ) 以東で関東地方を中心とする地域に行われた方言の総称。東国方言ともいう。そのおもな資料は『万葉集』巻十四「東歌 (あずまうた) 」,巻二十「防人歌 (さきもりのうた) 」である。それによると,奈良時代の東国方言は,(1) 命令形にロのつく形が使われた,(2) 打消しの助動詞ナフが用いられた,(3) 形容詞連体形はケのつく形であった (「悲シケ」など) ,(4) 動詞連体形がオ段で終った (「降ロ雪〈ヨキ〉」など) ことなどが知られる。これらの特徴のうち,(1) はいまの東部方言に全般的にみられるし,(2) ~ (4) も周辺東部諸方言に散発的に認めることができる。また,下総,常陸,下野,武蔵の歌には,大和の「知 (チ) 」に対し「之,志」が用いられているところから,すでに子音が破擦音化して[tsa_ri]のようになっていたのではないかと推定されている。

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