改訂新版 世界大百科事典 の解説
アナログ-ディジタル変換 (アナログディジタルへんかん)
analogue-digital converter
連続変化量の関数であるアナログ電圧信号を受け,これに対応する離散的に符号化されたディジタル情報信号を送出すること。A-D変換と略称されることが多い。この逆機能,すなわちディジタル符号情報を受けてこの符号の表す数値に比例する電圧信号を発生するものを,ディジタル-アナログ変換(D-A変換)と呼ぶ。
アナログ量の入力をディジタル化して出力する身近な例として家庭用の積算電力計がある。これは消費電力量を事務処理に適するkWh単位でくぎり,ディジタルに十進数字で表示する。
一般にアナログ的情報も記帳し処理するには,ディジタル化して数字化,符号化するのがふつうである。コンピューターや各種のディジタル計測・制御機器が多用されているが,これらはディジタル信号しか受けつけない。したがって温度,速度などのセンサーからのアナログ出力はA-D変換器を経由しないと入力できない。またコンピューターなどのディジタルな出力は,D-A変換器を経由しないと制御に適するアナログ出力にならない。
音声などのアナログ信号をディジタル化して伝送,記録するパルス符号変調による通信やディジタル録音・録画には,このA-D/D-A変換器が必要不可欠である。変換速度はプロセス制御用の数msの低速のものから,録画用の数十nsの高速のものまである。変換精度は8ビット(0.5%)のものがもっとも多いが,ディジタルオーディオ用など高精度を要求されるものは14~16ビット(0.05%)のものまである。
執筆者:川又 晃
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報