日本大百科全書(ニッポニカ) 「パルス符号変調」の意味・わかりやすい解説
パルス符号変調
ぱるすふごうへんちょう
pulse code modulation
パルス通信におけるパルス変調方式の一つ。電話などのアナログ信号をパルス符号に変換してデジタル伝送し、受信側ではまた元のアナログ信号に戻して通信を行う変調方式。略してPCMともいう。
具体的には、ある一定周期で信号の振幅値(標本値)を抽出し、これを整数の振幅値で近似(量子化)し、その振幅値を表わす整数を二進符号のパルス列に変換(符号化)して伝送する。受信側では二進符号で伝送されてきた信号を逆の操作で量子化レベルに変換(復号化)し、これを連続したアナログ信号に復元する。復元したアナログ信号は量子化により元のアナログ信号とは誤差があるが、二進符号の桁(けた)数(ビット数)を増すことによりこの誤差を十分小さく抑えることができる。
PCM方式は1937年イギリスのリーブスAlec Harley Reeves(1902―1971)によって発明された。アナログ信号を伝送する方式では伝送路の途中で生じる波形のひずみが避けられないが、PCMではパルスの有無さえ正確に再生されれば入力信号を近似(量子化)した誤差のみで、忠実な伝送が可能であり、伝送路での雑音の影響も受けにくいという長所がある。また、PCM方式で符号化された各回線ごとのパルス列(デジタル信号)を時間的にずらして並べることにより、一つの伝送路を用いて複数の回線の信号を伝送することも可能である。これを時分割多重(TDM)という。
[坪井 了・三木哲也]