大学事典 「アビトゥーア」の解説
アビトゥーア[独]
ドイツでは,アビトゥーア試験といわれる大学入学資格試験に合格することにより,基本的には希望するどの大学,どの学部・学科にも,大学入試なしで入学することができる制度が採用されている。アビトゥーア試験の総点は900点(300点以上が合格点)であるが,そのうち600点分はギムナジウム(ドイツ)(大学入学準備教育を行う中等教育学校)在学時の成績である。このように在学時の成績が十分加味された評価方法がとられているという点も,ドイツの大学入学制度の特色である。300点分について,ギムナジウムの卒業時に5教科で試験が行われる。5教科のうち4教科は筆記試験で,いずれも長時間にわたって相当高度の思考力を必要とする論文試験の形式がとられている。残りの1教科は口述による試験となっており,人の前で自分の意見を説得力をもって発表する能力が試される。州(16州)ごとに,州の統一試験として行われているが,どこの州で取得しても,その資格は全ドイツで有効である。またいったん取得された資格は終身有効である。
著者: 木戸裕
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報