アビトゥーア

大学事典 「アビトゥーア」の解説

アビトゥーア[独]

ドイツでは,アビトゥーア試験といわれる大学入学資格試験に合格することにより,基本的には希望するどの大学,どの学部学科にも,大学入試なしで入学することができる制度が採用されている。アビトゥーア試験の総点は900点(300点以上が合格点)であるが,そのうち600点分はギムナジウム(ドイツ)(大学入学準備教育を行う中等教育学校)在学時の成績である。このように在学時の成績が十分加味された評価方法がとられているという点も,ドイツの大学入学制度の特色である。300点分について,ギムナジウムの卒業時に5教科で試験が行われる。5教科のうち4教科は筆記試験で,いずれも長時間にわたって相当高度の思考力を必要とする論文試験形式がとられている。残りの1教科は口述による試験となっており,人の前で自分の意見を説得力をもって発表する能力が試される。州(16州)ごとに,州の統一試験として行われているが,どこの州で取得しても,その資格は全ドイツで有効である。またいったん取得された資格は終身有効である。
著者: 木戸裕

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアビトゥーアの言及

【入学試験】より

…たとえば,アメリカのコミュニティ・カレッジはその例の一つである。またフランス,西ドイツ(現ドイツ)では,日本の高等学校に相当するリセ,ギムナジウムの卒業試験に合格し,バカロレア,アビトゥーアを取得したものは,原則として,無試験で高等教育機関へ進学する方式がとられている。こうした,一定資格を有する者を無試験で入学を認める制度は,いいかえれば,入学定員という枠を定めていない点に,その特徴がある。…

【バカロレア】より

…今日,バカロレアの合格率は70~80%であるが,他方バカロレアを取得できずに学校を離れる無資格の生徒の就職難が社会問題化している。 フランスのバカロレアに相当する制度が西ドイツのアビトゥーアAbitur,イギリスのGCE(General Certificate of Education)やCSE(Certificate of Secondary Education)である。アビトゥーアの起源は18世紀フリードリヒ大王の時代といわれるが,第2次大戦後の旧西ドイツにおいては,連邦を構成する11の州の文部省が監督し,ギムナジウムおよび総合制中等学校の校長の責任で実施されるようになった。…

※「アビトゥーア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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