形式(読み)ケイシキ

デジタル大辞泉 「形式」の意味・読み・例文・類語

けい‐しき【形式】

物事が存在するときに表に現れている形。外形。⇔実質
物事を行うときの一定のやり方。事務上の手続き、儀礼的な交際などについていう。「形式にのっとる」「形式を踏む」
形だけで実質の伴わないこと。おざなり。「形式だけのあいさつ」「形式にとらわれる」
芸術作品で主題・思想を表すために、作品を構成する諸要素を配置・配合する一定の手法。
哲学で、事物や事象の成立・発現のしかたやその構造、またそれらの関係などを抽象したもの。⇔内容
[補説]自動車・航空機などについては「型式」と書き、「かたしき」と読む慣習がある。
[用法]形式・様式――「文書の形式(様式)を統一する」などでは相通じて用いられる。◇「形式」は定まったやり方の意で、「形式にのっとって行う」などと用いる。また、形だけで内容を伴わないことを「形式に流れる」「形式的なあいさつ」などともいう。◇「様式」は同類のものに共通する、他の類とは違った流儀や型の意で、いくつかの「形式」を抽象化して得られた一般的な特徴をいう。「生活様式」「行動様式」「ゴシック様式の建築」などと用いる。
[類語]体裁フォーム年式かた様式型式かたしき書式フォーマットスタイルモデルパターンタイプ類型定型ひな形方式手本見本サンプルスタンダードプロトタイプ

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精選版 日本国語大辞典 「形式」の意味・読み・例文・類語

けい‐しき【形式】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 物事が存在する時に表に現われている形。外形。また、あるものの形の数種の型。
    1. [初出の実例]「白石の階を畳みて宮に登る、階の形式奇なり」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉三)
    2. [その他の文献]〔杜氏通典〕
  3. 改まってある物事を行なう時のやり方。事務上の手続き、物事の運営、儀礼的な交際などについていう。また、文学、芸術などの様式や手法をもいう。
    1. [初出の実例]「日本に詩歌の発達せる形式なかりしは」(出典:抒情詩(1897)独歩吟〈国木田独歩〉序)
    2. 「しかし検察官のやり方は形式の上ではじつに公正で」(出典:真空地帯(1952)〈野間宏〉七)
  4. 物事の存在様式として固定した型。内容を忘れたものという非難の気持がこめられる場合が多い。「形式に流れる」「形式にとらわれる」
    1. [初出の実例]「例へば夫婦と云ふ形式の束縛を受けないで」(出典:青春(1905‐06)〈小栗風葉〉秋)
  5. かたちだけで実質の伴わないこと。おざなり。
    1. [初出の実例]「託宣にただ形式の人ばしら〈扇〉御座さだめをく褥脇息〈等々〉」(出典:俳諧・七柏集(1781)雪映舎興行)
  6. 哲学で、内容の特殊性を捨象して見出される事物間の関係そのもの。形相(けいそう)

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図書館情報学用語辞典 第5版 「形式」の解説

形式

図書マイクロ資料のような資料の物理的形式,あるいは辞書,論文集のような主題の取り扱い方にかかわる提示形式をいう.図書館分類法では主題に基づいて分類することを原則とするが,同じ主題の中をさらに形式によって区分し,利用の便に供することがある.分類表では,通常,物理的形式は採用されず提示形式が採用される.図書,マイクロ資料,ビデオ録画資料のように物理的形態の異なるものは,通常それぞれごとに別置されるので,資料排架の手段として分類記号がそれを表現する必要はないからである.一般分類表では,共通細目の一つとして補助表で扱われることが多い.

出典 図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典 第5版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「形式」の意味・わかりやすい解説

形式
けいしき
forma; form

哲学上,内容あるいは質料に対する重要概念。質料に対する場合は特に形相と訳され,ギリシア語の eidosに由来する。アリストテレスおよびそれを受継ぐスコラ学によれば,質料 (ギリシア語で hylē,ラテン語materia) はみずから規定をもたず,ただ規定を受ける原理であるのに対して,形相 (ラテン語で forma) はこれに内的本質規定を与える原理である。この意味で,本質 essentiaや性質 qualitasとほとんど同義に用いられる。しかしカントなどの近世哲学では,Formは形式と訳され,内的本質だけではなく,内容とは関係のない,あるいは内容と対立する事物の外面的統一態をも意味するようになった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「形式」の意味・わかりやすい解説

形式
けいしき
form 英語
Form ドイツ語
forme フランス語

論理学用語。論理学では、理論を記号を用いて表現したとき、記号の意味を捨象し、記号配列関係のみに注目して、理論の論理的構造をとらえたとき、その構造を、その理論の「形式」という。この意味での形式の考察に作業を限定する禁欲的な分野を証明論というが、証明論が意外に豊富な成果をもたらすことを見抜いていたのは、数学者ヒルベルトであった。そこで、彼の立場を「形式主義」ということがある。

吉田夏彦

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音楽用語ダス 「形式」の解説

形式

使われている主題 、ハーモニーリズムに基づいて定義づけられる音楽の構造、型。例えば、A - B - Aといった形をとる三部形式では、最初の部分と第3部には、全く同じかまたは非常に似通った素材が使用される。

出典 (株)ヤマハミュージックメディア音楽用語ダスについて 情報

改訂新版 世界大百科事典 「形式」の意味・わかりやすい解説

形式 (けいしき)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

普及版 字通 「形式」の読み・字形・画数・意味

【形式】けいしき

かた。

字通「形」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の形式の言及

【西洋哲学】より

…そして,これらの概念が制作物の存在構造をモデルにしてはじめて生じえたものであり,自然的事物には適用しにくいものであることは,すでに述べたとおりである。この対概念がその後〈形式formaと質料materia〉〈形式Formと内容Inhalt〉と呼び替えられて,形而上学的思考様式の基本的カテゴリーとして働いたことは,カントが《純粋理性批判》の〈反省概念の多義性〉の章で指摘しているとおりである。中世の普遍論争において特に論議の対象となった〈普遍‐個物〉ないし〈一般‐特殊〉という対概念も以上のような経緯と深くからみ合いながら形成されたものと考えてよい。…

※「形式」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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