ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アビニョン演劇祭」の意味・わかりやすい解説
アビニョン演劇祭
アビニョンえんげきさい
Avignon Festival
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…19世紀末からの南フランスのオランジュの楽劇祭など古いものもあるが,多くは第2次大戦後に始まった。その先鞭をつけたのが,J.ビラールによる毎夏の南フランスのアビニョン演劇祭(1947以降)とイギリスのエジンバラ芸術祭(1947以降)で,現在最も大規模で国際的にも成果をあげている。その後,欧米各地で多くは夏季に,古い町の野外,古城,寺院などを利用し行われている。…
…次いで仲間とともに〈七人座〉を創立,初演出(1943)のストリンドベリ《死の舞踏》は一部の注目を集めたが,若手演出家の名声を決定的にしたのは1945年のT.S.エリオット《寺院の殺人》で,その年の批評家賞を獲得した。47年に開始されたアビニョン演劇祭は野外劇の歴史上画期的な事件であり,演劇を大衆に奉仕するものたらしめようとする彼の意図の具体化でもある。教皇宮殿の中庭に3000人を超える客席と舞台を設け,シェークスピア,コルネイユ,ブレヒトなどの大戯曲を選び,装飾的な装置を廃し,照明と音楽の効果的利用により,舞台表現をテキストと俳優の演技に集約するその方法は,圧倒的な迫力をもたらした。…
…これは上記の保存的上演とははっきりと意味を異にするものであり,そこには,今日の演劇に失われた〈祝祭〉的エネルギーを過去の演劇形態からくみなおして,現代演劇活性化の糧にしようという積極的な意図が読みとれる。50年代~60年代に,星空と微風のもと白光に照らされて繰り広げられたアビニョン演劇祭の野外劇は,たしかに秀逸した舞台成果をあげていた。また,パリ西郊バンセンヌの森の旧弾薬莢製造所跡の大空間に陣どり活動を続けるアリアーヌ・ムヌーシュキンと〈太陽劇団〉の祝祭的舞台は,野外劇方式の屋内への適用として注目される。…
※「アビニョン演劇祭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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