アルグール(その他表記)arghūl[アラビア]

改訂新版 世界大百科事典 「アルグール」の意味・わかりやすい解説

アルグール
arghūl[アラビア]

エジプトをはじめ北アフリカ,西アジアそしてサルデーニャなど地中海地域で広く見られる民俗楽器の一つ。双管の葦笛ズンマーラ(アラビア語),チフテ(トルコ語),ドザッレ(ペルシア語),ミトバジュイラク),ラウネッダス(サルデーニャ)など地域によってさまざまな呼名がある。アルグールは語源的にはウルグンurghunの変形と考えられ,ウルグンとは中世においてオルガンを意味するアラビア語であった。アルグールのサイズは大小さまざまであるが,普通,直径10~15mm,長さ200~250mmの葦管を2本束ねて結わえ,より細い葦管を60mm位の長さに切り,これに凵形の切込みを入れて作ったシングル・リードをそれぞれに差し込む。指孔は5~6孔いずれの管にもうがたれているが,その位置がわずかにずらしてあるためにうなりを生じ,これが独特な音色を作り出す。演奏には循環呼吸法が用いられることが多い。また一方の管の長さや指孔の位置・数が異なり,ドローンの役目をするものもある。この素朴な双管クラリネットは古代ギリシアの双管のアウロスに類似しており,また古代エジプトでも同様な管楽器が用いられていたことが知られている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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