管の中の空気(空気柱)に外部から気流(ふつうは奏者の呼気)を作用させて楽音を作る楽器の総称。気流の作用を受ける方式には,(1)管壁に小孔をあけ,側縁に気流を当てる(フルート),(2)管の入口に振動体をしかける(オーボエ,クラリネット),(3)管の入口に唇を当て,振動体として機能させる(トランペット)がある。(2)の場合の振動体は,適当な弾力のあるリードと呼ばれる薄片で,シングル・リード,ダブル・リードなどの別がある。前者は薄片1枚で成り立つものすべてを指すよりも,空気の入口よりやや大きなものをいうことが多い。クラリネットが好例で,リードは入口の周囲を小きざみに打ち,そのたびに口をふさいで気流を断続させる。薄片が通路よりやや小さく,入口をくぐって振動する場合をフリー・リードという(笙(しよう)など)。(3)はいわゆるらっぱ類で,唇がリードの働きをするので,リップ・リードなどともいう。西洋では(1)と(2)の方式の楽器を指して木管楽器,(3)を金管楽器と呼ぶ習慣があり,実際の材質とときに不一致のまま行われている。管楽器のピッチを決定するのは管の長さと内部における空気の振動様式(開管または閉管)である。多くの楽器は開管様式であって,管長の2倍の波長をもつ音を最低音としてもち,それと倍音関係にある若干の音を,吹き方を変えて出すことができるが,クラリネットのように閉管様式の楽器もあり,その最低音の波長は管長の4倍,倍音関係は奇数倍である。しかしこうして出せる音の数はわずかであり,多くの音を出すには,何かしかけがいる。たいていは管長に変化を与えるもので,(1)(2)の多くは管壁に小孔があり,指で直接あるいはキー(鍵(けん))の助けを借りて開閉する。パンパイプや笙のように,単音の管を束ねて1セットとした楽器もある。(3)は弁と迂回管の組合せによるものか,スライド式に管がのびるものがほとんどである。
執筆者:中山 冨士雄+関根 裕
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管の中の空気柱の振動で音を出し、息によって演奏される楽器の総称。オルガンのように、管を用いていても息によらないものは、この分類に含まれないのが普通である。
金管楽器と木管楽器とに大別されるが、金属製の木管楽器やガラス製の金管楽器などもあり、材質だけでは分類できず、両者の区別は発音原理による。金管楽器は、トランペットのように唇の振動によって空気柱に振動が与えられるもの。木管楽器には、フルートのようにエッジ音によるものと、クラリネットのようにリードの振動によるものとがある。管楽器は先史時代から存在したとされるが、金管楽器のおこりは、動物の角(つの)や巻き貝の殻を吹いたことにあり、木管楽器は、管の端を横方向に吹くと音が出ることを発見したのが最初と考えられる。長さが異なる管を何本か束ねたり、指孔をあけたりすることも古くから行われていた。金管楽器でも、指孔をもつものが19世紀まで用いられていた。管楽器は、吹き方(オーバーブローイング)によって倍音列に属する音を出すことができ、それ以上の音高の調節のために、指孔をあけたり、管の全長を変えられるようにしたりするが、単純なものでは演奏可能な調が限られることから、現在のような合理的なバルブ・システムやキー・システムが開発されるまでは、多くの移調楽器が用いられた。今日では、移調楽器は主として音色の違いにより使い分けられている。
[前川陽郁]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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【種類】
楽器の形態や構造は多様であるが,それをいくつかの系統に整理することにより体系的に理解することができる。 日本では一般に,楽器を管楽器,弦楽器,打楽器の3種類に分けている。諸外国でも表現は一部異なるが(たとえば管楽器に相当する英語はwind instruments〈風楽器〉である),これとほぼ同様の3分法がみられる。…
※「管楽器」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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