日本大百科全書(ニッポニカ) 「あるぜんちな丸」の意味・わかりやすい解説
あるぜんちな丸
あるぜんちなまる
大阪商船株式会社(現在の株式会社商船三井)所属、南米東岸航路用の貨客船。1939年(昭和14)に三菱(みつびし)長崎造船所で竣工(しゅんこう)した。1万2750総トン、載貨重量1万0600キロトン、長さ155メートル、ディーゼルエンジン2基、出力1万6500馬力、最大速力21.48ノット(時速約39.8キロメートル)。船客定員861人。姉妹船ぶらじる丸とともに、南米東岸経由世界一周航路に従事していたが、第二次世界大戦が勃発(ぼっぱつ)すると海軍に徴用され、兵員と物資の輸送にあたった。戦局の進展とともに特設空母「海鷹(かいよう)」に改造され、1942年海軍に売却、1945年7月24日、別府湾内で空襲を逃れた直後、機雷に触れて沈没した。
なお第二次世界大戦後の1958年(昭和33)2代目のあるぜんちな丸が竣工し、南米航路貨客船として就航した。同じく大阪商船所属で、1万0864総トン、載貨重量1万0450キロトン、主機タービン1基、出力9000馬力、最大速力19.83ノット(時速約36.7キロメートル)。船客定員1054人。1965年から日本―ハワイ―北アメリカ西岸の太平洋客船サービスに変更。その後1972年クルーズ客船初代にっぽん丸として再生、1976年に売却され解体された。
[茂在寅男]