改訂新版 世界大百科事典 「アルボルノス」の意味・わかりやすい解説
アルボルノス
Gil Álvarez Carrillo de Albornoz
生没年:1310-67
スペイン生れの聖職者,教会政治家。トレド司教として,レコンキスタの一翼をになって軍事活動に従事。1343年アビニョンに招かれ,教皇クレメンス6世によって,ローマを中心とする〈教皇領〉再建のために派遣された(1353)。〈教皇領〉はローマ貴族や各地の君主によって私領化され,事実上解体していたのである。彼は抜群の軍事的・政治的能力を駆使して,57年までに都市ローマをはじめ,ロマーニャやマルケの回復に成功。一時アビニョンに呼び戻されたが,翌年ローマに戻り,その大事業を完成させた。57年にマルケのファーノで決定し公布した〈聖母教会憲章〉(通称〈エジディオ憲章〉)は,教会国家の国制を定めたものとして,たびたび改訂され,19世紀まで存続していた。
執筆者:清水 廣一郎
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