日本大百科全書(ニッポニカ) 「アレーニ」の意味・わかりやすい解説
アレーニ
あれーに
Giulio Aleni
(1582―1649)
イタリアのイエズス会宣教師。天文学に通じ、マカオにあって長崎のカルロ・スピノラ神父と協力して1612年の月食を観察し、長崎とマカオ間の経度を測定した。日本における科学的月食観察の最初である。1613年北京(ペキン)に入り、揚州(ようしゅう)で多数の人々を改宗させて、福建(ふっけん)に教勢を伸ばした。著書に世界地理書『職方外記』、西欧学芸と学制を解説した『西学凡(せいがくぼん)』、天文学書として『万物真源』『性学觕述(そじゅつ)』『西方問答』などがある。平田篤胤(ひらたあつたね)は、アレーニが儒仏を論破した『三山論学紀』その他の禁書となっていた天主教書に接し、平田神道の理論づけに大きな影響を受けた。中国の経史に通じ「西来孔子」とよばれ、延平(えんぺい)に没した。
[宮崎賢太郎 2018年2月16日]
『海老沢有道著『南蛮学統の研究』(1958/増補版・1978・創文社)』