イタリア人宣教師、福者殉教者。イエズス会士として日本伝道に従事し、1602年(慶長7)長崎に上陸、有馬(ありま)に布教する。1605年京都に上り、司牧慈善活動に専心する一方、南蛮寺に数学・天文学のアカデミアを設立した。彼はドイツの天文学者で、グレゴリオ暦の提案者クラビウスの指導を受け、マテオ・リッチと同門であった。1612年長崎に帰来し、日本で初めて月食の科学的観測を行った。彼はキリシタン迫害下にあってよく異教徒に伝道し、洗礼を授けたが、1618年(元和4)に捕らえられ、1622年(元和(げんな)8)9月10日、神父、信徒25名とともに長崎立山(たてやま)における大殉教(元和大殉教)で火刑に処せられた。
[磯見辰典 2018年2月16日]
ポルトガルの軍人、政治家。当時、植民地であったギニア・ビサウの総督兼駐留軍司令官(1968~1973)として軍事と行政の両面で名をあげ、1973年国軍参謀次長に任命されるが、1974年『ポルトガルとその将来』を著して政府の軍事偏重の植民地統治策を批判し解任された。こうして若手将校たちの希望の星となった彼は、1974年4月の軍事クーデターの成功により5月に大統領となるが、ゴンサルベス内閣の左翼急進主義と衝突して9月に辞任した。翌1975年3月の反政府クーデターに失敗し、ブラジルに亡命したが、軍急進派の失脚後の1976年に帰国した。
[平瀬徹也]
『金七紀男訳『ポルトガルとその将来――国家の状況分析』(1975・時事通信社)』
プロテスタントとの合同を唱えたスペインのカトリック神学者。オランダで生まれ、フランシスコ会に入会し、修道者となった。オーストリアのウィーナー・ノイシュタットの司教となる。皇帝レオポルト1世に外交使節をゆだねられ、カトリックとプロテスタントの一致のために努力した。プロテスタント神学者モラヌスGerhard Wolter Molanus(1633―1722)や哲学者ライプニッツとの忍耐強い交渉は有名。またドイツ諸侯と折衝を重ね、ローマを三度訪ねて、教会一致の公会議を開こうと努力したが、フランスの反対にあって不成功に終わった。
[門脇佳吉 2017年11月17日]
(宮崎賢太郎)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報
イタリア人イエズス会士。ジェノバに生まれ,1594年ミラノで司祭叙階。日本布教を志し,96年リスボン発,ブラジル漂着後,プエルト・リコを経てリスボンへ向かう途中,イギリス船に捕らえられ,ロンドンで釈放された。1600年,再びリスボン発,マカオを経て02年(慶長7)長崎来着。有馬を経て05年京都で会計係となり,ローマ在学時代にクラビウスから学んだ数学,天文学を教授した。12年長崎に戻って会計係となり,同年11月8日の月食を長崎で観測,マカオのアレニら中国イエズス会士の観測と合わせて,長崎の経度を明らかにした。日本における月食の科学的観測の嚆矢(こうし)である。18年(元和4)同地で捕らえられ,大村の鈴田に入牢後,22年長崎で殉教(元和(げんな)大殉教)。1867年,福者となる。
執筆者:井手 勝美
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1910~96
ポルトガル,1974年革命の中心人物の一人。職業軍人としてキャリアを積み,植民地戦争時にはギニア総督兼総司令として活躍。植民地政策の転換を訴え『ポルトガルとその将来』を著し,国軍運動の中心人物となる。革命後,臨時大統領(在任1974)。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…ランゴバルド時代には衰え,10世紀にはイスラム海軍のたび重なる攻撃を受けた。カロリング朝断絶後,この地方はオベルテンギ家の所領となり,その家臣の中から後にデラ・ボルタ,スピノラなどの有力な都市貴族が出ることになる。10世紀には市壁が築造され,周辺農村からこれらの貴族層が都市へ移住した。…
…その間1590年ユトレヒト同盟の陸海軍総司令官に就任,古代ローマの戦術の研究に基づいて軍隊の再編整備につとめ,同盟諸州からスペイン軍を駆逐してオランダ共和国の基礎を築いた。1600年ニウポールトNieuwpoortでも勝利したが,以後はスペインの勇将スピノラAmbrogio Spinola(1569‐1630)の反撃に阻まれた。〈十二年休戦条約〉期(1609‐21)に,〈厳格カルバン派(ホマルス派)〉を支持して,〈アルミニウス派〉と結ぶホラント州議会と対立,その指導者オルデンバルネフェルトを逮捕(1618),翌年処刑した。…
※「スピノラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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