改訂新版 世界大百科事典 「アンコーレ王国」の意味・わかりやすい解説
アンコーレ王国 (アンコーレおうこく)
東アフリカのウガンダにあった王国。1898年にイギリスは南西ウガンダのヌコーレNkore(Nkole)王国を保護下におき,以後1914年までに近隣のブフウェジュ,ブジンバ,イガラなどの小国を加えて新しいアンコーレAnkole王国をつくった。ヌコーレ王国は,かつて14~15世紀に西ウガンダからタンザニア西部にわたる広大な地域を支配したキタラ王国バチュウェジ王朝に端を発する。ヌコーレ初代の王ルヒンダはバチュウェジ最後の王ワララの子とされ,西ウガンダ一帯の地を支配した。王の死後,国は小国に分裂し,ブニョロ王国などの圧迫を受けたが,19世紀後半にはヌタレ王の下に版図を拡大した。牧畜民ヒマが農耕民イルを支配する成層国家で,王はヒマの頂点に立ち,聖なる太鼓や神の祭祀を通じて強大な権力を有し,平民宰相を中心とする評議会が軍事・行政を補佐し,また王子間の王位継承戦を統制した。1966年ウガンダがクーデタにより共和制に移行したとき,この王国は25代の王をもって消滅した。
執筆者:長島 信弘
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