あんす(読み)アンス

デジタル大辞泉 「あんす」の意味・読み・例文・類語

あん・す

[動サ特活]《「あります」の音変化から》
「行く」「来る」の軽い丁寧語。行きます。来ます。
「近い内に―・せとて背中をたたく」〈咄・あられ酒・五〉
補助動詞
㋐(「…であんす」の形で)丁寧な断定の意を表す。…であります。
「これ一つ気の毒で―・す」〈咄・露がはなし・五〉
動詞の連用形に付いて、丁寧の意を添える。…ます。
「この喧嘩けんくわはこの馬方が貰ひ―・した」〈浄・源氏鏡〉
[補説]一説に、動詞「ある」に助動詞「んす」の付いたものとする。近世初期、遊里語として発生し、やっこ男達おとこだてにも使われたが、のちに「やんす」「やす」に変化。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「あんす」の意味・読み・例文・類語

あん・す

  1. 〘 自動詞 サ行特活 〙 ( 「あります」の変化した語。一説に「ある」に「んす」の付いた語という ) 「ある」の丁寧表現。遊里語・通人語として用いられたが、奴(やっこ)や男達(おとこだて)などにも用いられた。
  2. 「来る」「行く」などの意に軽い敬意をこめていう。
    1. [初出の実例]「誠にぬれの最ちうにてあんすであんす」(出典:仮名草子・都風俗鑑(1681)三)
  3. ( 補助動詞として、「であんす」の形で ) であります。です。
    1. [初出の実例]「お使誰しや、鶴屋の伝左かたよりであんすあんすと申」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)六)
  4. ( 補助動詞として、動詞の連用形について ) ます。
    1. [初出の実例]「コレ此喧嘩は此馬士(むまかた)が貰ひあんした」(出典浄瑠璃・伊豆院宣源氏鏡(1741)二)

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