アークトチス(その他表記)Arctotis

改訂新版 世界大百科事典 「アークトチス」の意味・わかりやすい解説

アークトチス
Arctotis

南アフリカに30種ほど分布するキク科多年草。花はマーガレットに似た頭状花をつけるが,茎葉ともに短い白毛でおおわれる。頭花は舌状花が大きく発達して美しい。若い花は日中に開くが夜は閉じる。属名はギリシア語でクマの耳の意で,種子綿毛につつまれているようすをたとえたものである。ふつう栽培されているのは,ハゴロモギクまたはアフリカギクA.grandis Thunb.(英名African daisy)を基本種とした交配改良種で花は白,クリーム,黄,橙,紅,ワインカラーなどで花径7~8cm,花弁の基部に異色の斑がある。草丈は40~50cm。

 花は切花としたり,鉢植えとして栽培する。多年草だが,ふつうは秋まき一年草として取り扱い,冬は霜よけ下で保護すれば5~6月に開花する。夏を涼しく過ごさせると1~2年は宿根する。寒地では早春にフレームでまき,苗を4月に植え出せば7~8月に開花する。種子をまくときは,川砂といっしょにもんで綿毛を少なくしてまきつけるとよい。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アークトチス」の意味・わかりやすい解説

アークトチス
あーくとちす
[学] Arctotis

キク科(APG分類:キク科)の一属名。南アフリカのケープ地方に約30種が分布する。園芸的に栽培されるのはこのうちのA. stoechadifolia Bergius(A. grandis Thunb.)で、和名をハゴロモギクという。草丈は70~80センチメートル、枝打ちして茂り、茎葉には白色の綿毛が密生する。径7センチメートルくらいの白色で弁裏が帯藤青色の一重咲き菊状花を咲かせ、花芯(かしん)部は青紫色で美しい。このほか、黄色、銅赤色花などを咲かせるハーリクインという交雑種もある。多年草であるが非耐寒性のため春播(ま)き一年草として栽培することが多い。

[柳 宗民 2022年1月21日]

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