日本大百科全書(ニッポニカ) 「アーク切断」の意味・わかりやすい解説
アーク切断
あーくせつだん
arc cutting
電極と被切断物(母材)との間に電気アークを発生させ、その熱で金属を溶融し切断する方法。ガス切断が困難な金属にも利用できる利点がある。圧縮ガスを用いない方法(1)(2)と、用いる方法(3)(4)(5)に大別される。
(1)炭素アーク切断 炭素または黒鉛電極棒と被切断物(鋳鉄、鋼)の間にアークを発生させて切断する。電源は普通のアーク溶接機でよい。
(2)金属アーク切断 圧縮ガスは用いず、被覆金属棒を電極としたアークで切断する方法で、炭素アーク切断より能率的である。
(3)アークエア切断 炭素アーク切断に圧縮空気を併用した方法で、鋼材の切断のほか溶接部の開先加工などに用いる。
(4)酸素アーク切断 アーク切断とガス切断とを組み合わせた方法で、中空の鋼製電極棒と被切断物との間にアークを発生させ、被切断物を加熱し、電極棒の中心孔から酸素を噴出させて切断する。アーク切断より高い切断速度が得られ、鋼材の水中切断はこの方法によっている。
(5)不活性ガス・メタル・アーク切断 ミグ溶接機を用い、電極線を連続的に供給し、これと被切断物との間にアークを発生させ、局部的に溶融し、この部分にアルゴンガスを吹き付けて切断する。アルミニウム、ステンレス鋼、銅合金なども切断できる。
[桑名 武・原善四郎]