イチジクコバチ

百科事典マイペディア 「イチジクコバチ」の意味・わかりやすい解説

イチジクコバチ

膜翅目イチジクコバチ科の総称。体長2mm以下の微小種が多く,イヌビワコバチ,イタビコバチなど,日本からは10種以上が知られる。海外では熱帯域を中心に多くの種が知られるが,これはイチジク属の分布と重なる。イチジク属は花の形態が特異であるため,唯一イチジクコバチ類によって受粉されるが,この場合,植物1種に対してハチ1種が厳密に対応している。こうした密接な共生関係両者種分化について調べられた結果,ハチと植物が互いに影響をおよぼしあって,現在の種が形成されたことが示唆された。このような現象共進化というが,両者の関係はその典型的な例とされる。
→関連項目イチジク(無花果)コバチ

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関連語 無花果

世界大百科事典(旧版)内のイチジクコバチの言及

【イチジク(無花果)】より

…枝,葉,果実の切口から分泌する乳液にフィシンとよぶタンパク質分解酵素があり,痔の塗布薬にもなる。【松井 仁】
[イチジクの受粉]
 イチジクは花が花托の内部に閉じ込められた特異な形態をしているため,花粉の媒介はイチジクコバチBlastophaga psenesによってのみ行われる。イチジクコバチは膜翅(まくし)目イチジクコバチ科の小型のハチで,体長1.8mm。…

※「イチジクコバチ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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