種分化(読み)シュブンカ(その他表記)speciation

翻訳|speciation

デジタル大辞泉 「種分化」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐ぶんか〔‐ブンクワ〕【種分化】

祖先生物種が分化して、新しい種がうまれること。種形成

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「種分化」の意味・わかりやすい解説

種分化 (しゅぶんか)
speciation

新しい種は祖先種の分岐(生殖的隔離)および単一の種系列の時間的変化によって生ずるが,通常は前者のみを種分化という。現在地球上にみられる生物の多様性は種分化なしには説明できない。種分化の過程と機構解明は進化学の中心的課題の一つである。マイヤーE.Mayrの〈創設者の原理founder principle〉は,分布の縁辺部で小さな集団が地理的に種の主要な集団から隔離され(このような場合の主要な集団と縁辺の集団の関係を異所的という。逆に両集団が同一地域に共存する場合には両者の関係を同所的という),遺伝子の交流が断たれることにより,その場の環境に応じた自然淘汰と遺伝子の機会的浮動が効果的に働き,比較的急速に新種が形成されることを主張するもので,多く学者賛同を得ている。またこの異所的種分化allopatric speciationをモデルにして,古生物の形態変化のパターンが再検討されている。倍数性が普通にみられる生物では同所的種分化sympatric speciationの可能性があり,分断淘汰や生態的な原因による種分化を考える学者もあるが,多くの場合地理的隔離が種分化のきっかけとなることは疑いない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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