改訂新版 世界大百科事典 「イバラカンザシゴカイ」の意味・わかりやすい解説
イバラカンザシゴカイ
Spirobranchus giganteus corniculatus
多毛綱カンザシゴカイ科の環形動物。本州中部以南の暖海域に分布し,干潮線下の岩やサンゴ礁に厚い石灰質の管で付着する。体長5~7cmで,体節数250内外。頭端にはえら糸がらせん形に取り巻いて全体が円錐形になった鰓冠(さいかん)が左右1対あるが,この色彩は個体によって赤色,青色,白色,斑入りなどさまざまで非常に美しい。1本の柄の先端に円形の殻蓋があり,その上面に枝分れした角のような3個の突起がある。虫体は厚い石灰質の棲管(せいかん)に入っていて,敵に襲われると鰓冠を引きこめ,殻蓋で棲管の入口をふさいでしまう。非常に動作が機敏なのは神経が太いためといわれる。鰓冠を失っても再生して元のようになる。
執筆者:今島 実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報