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環形動物 かんけいどうぶつAnnelida

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

環形動物
かんけいどうぶつ
Annelida

環形動物門に属する動物の総称で,ゴカイミミズヒル類などを含む。体は細長く,多くの環状になった体節から成る。頭部 (口前葉) に続いて体腔をもった体節が続き,最後は肛門が開いている。体表は腺細胞がよく発達し,通常クチクラでおおわれる。消化管は口から肛門に直通し,その背腹側を通る2本の血管を中心とした閉鎖血管系がある。神経系は腹側を走り,各体節に神経節をもつ,いわゆる梯子形神経系をもつものが多い。環状筋,縦走筋,背腹筋などがよく発達する。海産のものはトロコフォラをもつが,陸生,淡水産のものは直接発生を行う。原始環虫類多毛類貧毛類ヒル類ユムシ類に大別され,世界に約 7000種が知られている。

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百科事典マイペディアの解説

環形動物【かんけいどうぶつ】

無脊椎動物の一門。体は左右相称で細長く,多くの体節からなる。表皮の上はクチクラ層でおおわれる。体節ごとに体腔があり,はしご形神経系,閉鎖血管系をもつ。多毛類(ゴカイ),貧毛類(ミミズ),ヒル類,ユムシ類などに分けられ,ミミズ,ヒル類は雌雄同体,他は異体である。

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世界大百科事典 第2版の解説

かんけいどうぶつ【環形動物】

動物分類学上,環形動物門Annelidaに属する無脊椎動物の総称。ミミズ,ゴカイ,ヒルなどが含まれる。体は一般に円筒状で細長く,頭部と尾部のほかはほぼ同じような構造の体節が並んでいて,体内も節ごとに隔膜で仕切られている。環形動物にはそれぞれ外形が非常に異なる六つの綱が含まれており,とくに多毛綱では外形がよく分化しているためにさまざまな形のものが見られる。 環形動物と軟体動物との幼生の形がよく似ているので両者は近縁なものと考えられてきたが,軟体動物で体に多少体節的構造が見られるネオピリナNeopilina(イラスト)が発見され,環形動物と軟体動物とはネオピリナのような祖先から体節制が失われて貝殻が発達して軟体動物になり,他方では体節が発達して殻を失い環形動物になったと考えられるようになった。

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大辞林 第三版の解説

かんけいどうぶつ【環形動物】

動物分類上の一門。体形は一般に細長い円筒形で、前後に連なるほぼ同じ構造をもった多数の体節からできている。多くは海産で、淡水産・陸産のものもある。ゴカイ・ミミズ・ヒルなどを含む。環虫類。環節動物。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

環形動物
かんけいどうぶつ

動物分類学上の1門Annelidaを構成するゴカイやミミズを含む動物群。一般に細長い円筒状の動物群で、門の名はラテン語のannulus(環という意味)に由来する。海産が主であるが、淡水や陸上にも広く分布していて世界で約7700種が知られている。[今島 実]

形態

体は左右相称で、ほぼ同じ大きさの体節に分かれ、体内も節ごとに薄い膜の隔膜で仕切られていて、体腔(たいこう)をもった一つの室になっている。しかし、なかには体内に隔膜がなく、一つの広い室になっているものもあるが、これは発生の過程で退化したものである。環形動物のうち、外形がもっともよく分化したのは多毛類であって、頭部に触手、目、感触器などが発達し、体側には種類によってそれぞれ特有な形のいぼ足がある。しかし、貧毛類やヒル類では触手やいぼ足もなく、貧毛類では体壁から直接剛毛が生じ、ヒル類では剛毛もなくなり、かわりに体の両端に吸盤をもっている。
 体表はキチン質の薄い膜で覆われ、腺(せん)細胞がよく発達している。体壁は二重の筋肉層になっていて、外側には環状筋が取り巻き、内側に縦走筋が縦に走っている。体内の中央には口から肛門(こうもん)に続く消化管が直走しているが、これにはいろいろな器官が付属し、とくにヒル類では吸った血を一時蓄える盲嚢(もうのう)が数対ついている。多毛類では咽頭(いんとう)にキチン質のあごや歯があって、食物を挟んで食道内に送り込む働きをし、ヒルのうちあごをもつものは相手の皮膚に傷をつける。咽頭に続いて貧毛類では(そのう)や砂嚢があり、ここでよく食物を擦り砕いている。
 血管系は閉鎖血管系で、消化管の背側に背行血管、腹側に腹行血管が走って、両血管の間を体節ごとに体壁や内臓に側枝を送っている。血液は背行血管から体壁やいぼ足を通り、腹行血管に移って体の後方へいき、腹行血管から腸壁を通って背行血管へ移り、体前方へ向かって流れる。貧毛類では体前方の3対の環状管が太くなっていて、拍動して血液を送り出している。血液はヘモグロビンを溶解しているために赤いが、種類によっては緑色や無色の血液もある。呼吸は一般に皮膚呼吸のものが多いが、エラミミズやウミエラビルなどのほか多くの多毛類ではそれぞれ独特な形のえらをもっている。
 神経系は頭部にある1対の脳神経節から1対の腹側神経索(腹髄)が伸びて腹側正中線を走り、各体節ごとに神経節があって、いわゆる梯子(はしご)状神経系を形づくっている。
 体腔内にたまった老廃物は細長い管状の腎管(じんかん)によって体外に排出している。腎管は原則として各節に左右1対あるが、実際にはその数が減って特定の体節にしかない場合が多い。腎管の口は前の体節内にあって老廃物を集め、隔膜を突き抜けて次の体節の腹面から体外に排出している。感覚器官は多毛類でとくに発達しているが、貧毛類では種々の感覚細胞が表皮中に散布していて、特別な感覚器をつくらない。[今島 実]

生殖法

雌雄異体または雌雄同体で、一般に原始環虫類、多毛類、ユムシ類は雌雄異体で、貧毛類とヒル類は雌雄同体である。貧毛類とヒル類では生殖時期になると体前方の数節が融合して太くなり、環帯をつくる。卵は等黄卵か端黄卵で通常螺旋(らせん)分割を行う。原始環虫類、多毛類、ユムシ類は受精卵からトロコフォラ幼生(担輪子(たんりんし)幼生)となって一時海中を浮遊したのち、変態して底生生活に移り成体になる。一方、貧毛類とヒル類では受精卵から変態せずに直接成体になる直接発生を行う。また、体の一部から多くの芽を出して成長し、やがて親から離れてゆくという無性生殖も行う。[今島 実]

分類

環形動物は分類学上、次の六つの綱に分けられる。
(1)原始環虫類 小形の種類が多く、原始的な体制をしている。大部分の種が海岸の砂の中にすむが、湖や地下水にすむものもある。世界に約90種が知られている。
(2)多毛類 環形動物のうちもっとも種類が多く、ほとんどが海産。体長5ミリメートルから1.5メートルになるものがあり、大部分は泥や砂の中にすむが、他物に付着したり、一生の間浮遊生活するものもある。世界に約4000種が知られている。
(3)貧毛類 いわゆるミミズ類で、大形のものは陸上に、小形のものは淡水にすみ、ほかの動物に寄生するものもある。ほとんどの種類は触手やいぼ足がなく、少数の剛毛をもつのみである。世界に約3100種が知られている。
(4)ヒル類 体は大小や種類に関係なく、環節が34節と決まっていて、前部と後部に吸盤がある。陸上、淡水、海に広く分布している。世界に約300種が知られている。
(5)ユムシ類 体の前方には体内に引き込まない吻(ふん)があり、これを海底の上をはわして餌(えさ)をとる。体の外部にも内部にも体節がないが、発生の途中では体節構造がみられる。すべて海産。世界に約70種が知られている。
(6)吸口虫類 体は円盤状で、表面は平滑、腹側には5対のいぼ足が縦に並んで、その間に4対の吸盤状の側器官がある。棘皮(きょくひ)動物のウミユリ類の体表や体内に共生または寄生生活する。世界に約130種が知られている。[今島 実]

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