イーター(その他表記)ITER

翻訳|ITER

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イーター」の意味・わかりやすい解説

イーター
ITER

国際熱核融合実験炉 International Thermonuclear Experimental Reactorの略称ITERギリシア語で「道」を意味し,核融合炉の実現への道となることを期待して命名された。 1985年スイスのジュネーブで開催されたアメリカのロナルド・W.レーガン大統領とソビエト連邦のミハイル・S.ゴルバチョフ共産党書記長との首脳会談において,「全人類の恩恵となる核融合開発」の協力事業が提唱された。これにこたえ,日本,ヨーロッパ共同体 EC,アメリカ,ソ連が 1987年に国際協定を締結し,ITERの共同設計作業が始まった。概念設計は 1990年末に完了し,1992年7月協力協定が調印され,茨城県那珂町 (日本原子力研究所那珂研究所) ,ドイツのガルビン,アメリカのカリフォルニア州サンディエゴの3ヵ所に共同中央チームの研究所が設置された。うち日本の担当は真空容器外側の機器の設計。提案されたのは約 1GWの核融合エネルギー出力をもつトカマク型の実験炉で,プラズマ主半径は 8.14m,核融合出力は 1500MW。 1992年から約6年をかけて工学的設計が行なわれたが,その後日本,ヨーロッパ連合 EU,ロシアの3極で建設コストを約2分の1にするコンパクト ITER (プラズマ主半径 6.2m,核融合出力 500MW) の設計がまとめられた。 2005年本体建設地がフランスのカダラッシュに決定した。建設期間 10年,運転期間 20年を予定している。本体の建設予定費は約 5000億円。

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