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核融合炉 かくゆうごうろ nuclear fusion reactor

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

核融合炉
かくゆうごうろ
nuclear fusion reactor

水素などの小さな原子核が融合して大きな原子核になる核融合反応を制御のもとに進行させ,エネルギーを取り出す装置。熱核融合炉ともいう。太陽の中心部で起きている水素の核融合反応になぞらえて,地上に太陽を創造する研究といわれる。

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知恵蔵2015の解説

核融合炉

重水素(D=陽子1個、中性子1個)と三重水素(T=陽子1個、中性子2個)の原子核を超高圧下で1億度以上に加熱すると、原子核が融合し、ヘリウム(He=陽子2個、中性子2個)原子核と中性子1個に変わる。この核融合反応で放出される膨大なエネルギーを発電に利用する。理論上は、燃料1gから石油8t分に相当するエネルギーが得られるという。燃料を高温・高圧のプラズマ状態に保つ方法は、磁場を利用する磁気閉じ込め方式と、レーザー照射を使う慣性閉じ込め方式の2種類に大別される。日本、米国、ロシア、中国、韓国、インドの6カ国と欧州連合(EU)が参加する国際熱核融合実験炉(ITER)計画は、磁気閉じ込め方式のうちトカマク型を採用し、フランスのカダラッシュで建設準備が進む。建設から解体までの総経費は約1兆7000億円。日本は建設費の約9%、運転費の約13%を負担することになっている。トカマク型は、高温のプラズマ状態にした燃料を磁気の作用でドーナツ状に閉じ込めるもの。1950年代の旧ソ連で考案され、現時点で最も実現に近いと期待される。トカマク型では、日本に日本原子力研究開発機構のJT-60がある。

(渥美好司 朝日新聞記者 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

核融合炉

重水素(陽子1個、中性子1個)と三重水素(陽子1個、中性子2個)の原子核を超高圧下で1億度以上に加熱すると、原子核が融合し、ヘリウム(陽子2個、中性子2個)原子核と中性子1個に変わる。この核融合反応で放出される膨大なエネルギーを発電に利用する。理論上は、燃料1グラムから石油8トン分に相当するエネルギーが得られるという。燃料を高温・高圧のプラズマ状態に保つ方法は、磁場を利用する磁気閉じ込め方式と、レーザー照射を使う慣性閉じ込め方式の2種類に大別される。日、米、ロシア、中国、韓国、インドの6カ国と欧州連合(EU)が参加するITER計画は、磁気閉じ込め方式のうちトカマク型を採用し、フランス・カダラッシュで建設準備が進む。建設から解体までの総経費は約1兆7千億円。日本は建設費の約9%、運転費の約13%を負担することになっている。

(2007-06-22 朝日新聞 朝刊 科学1)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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デジタル大辞泉の解説

かくゆうごう‐ろ〔カクユウガフ‐〕【核融合炉】

高温のプラズマを閉じ込めて熱核融合反応を維持し、発生する大きなエネルギーを発電などに利用できるようにする装置。磁場を用いてプラズマを閉じ込める磁気核融合炉とレーザー光線で超高密度のプラズマを発生させるレーザー核融合炉の二方式が知られる。現在研究が進められているが、実用化には至っていない。

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世界大百科事典 第2版の解説

かくゆうごうろ【核融合炉 nuclear fusion reactor】

容器内で壁から隔離して閉じ込められたプラズマを数億度という超高温に加熱し,そのとき起こる熱核融合反応によってエネルギーを取り出そうとする装置。
熱核融合プラズマの条件】
 熱核融合を起こすには,プラズマを閉じ込め,外部から十分高温になるまで加熱する必要がある。反応によって放出されるエネルギーとそれに必要とされるエネルギーの比Qfは核融合利得と呼ばれ,とくにプラズマが反応生成物による自己加熱状態にあれば,外部からの加熱は不必要でQf=∞である。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

核融合炉
かくゆうごうろ

核融合反応によって発生するエネルギーを取り出すシステム。将来の基幹エネルギー源として期待されている。

核融合炉の炉心と構造

核融合炉で用いる代表的な反応は、
D+T→4He+n(14MeV)
によるものである(D-T反応)。ここでD、T、nはそれぞれ重水素(ジュウテリウム)、三重水素(トリチウム)、中性子である。つまり、重水素とトリチウムの核融合により、ヘリウム(He)と中性子が生じ、その中性子は14メガ電子ボルトのエネルギーをもつ。上記核融合反応を起こすには、DとTがエネルギーをもって衝突する必要があり、効率的に大量の反応を持続させるには、DとTを超高温(1億℃程度)に加熱することにより、原子核と電子が分離したプラズマ状態とし、一定密度、一定時間保持する必要がある。このため、プラズマを加熱して閉じ込める研究が核融合炉を実現するため必須(ひっす)の研究として進められている(詳しくは項目「プラズマ」の「プラズマ物理学」の章を参照)。
 核融合炉はプラズマを閉じ込める方法により、磁場核融合炉と慣性核融合炉に大別される。磁場核融合炉は、プラズマ粒子が磁力線に沿って移動する性質を利用して真空容器内に磁場の籠(かご)を作り、その磁場の中にプラズマを閉じ込めるもの、慣性核融合炉は、D、Tの固体ペレット(ターゲット)にレーザーなどにより瞬間的に大きなエネルギーを与え、内側への膨張(爆縮)によって高温高密度のプラズマを一定時間発生させるものである。
 磁場核融合炉には代表的なものとして、磁場の発生に円環状のコイルを用いるトカマク型と、らせん状のコイルを用いるヘリカル型がある。研究開発が先行したトカマク型は、日本原子力研究開発機構のJT-60(現在JT-60SAへ改修中)、アメリカのTFTR(計画終了)、イギリスにあるEU(ヨーロッパ連合)のJETなどによる科学的実証研究を経て、国際協力のもとフランスで国際熱核融合実験炉ITER(イーター。道、旅を意味するラテン語)が2013年の時点で建設中である。一方ヘリカル型は定常運転が容易であることなどトカマク型にない利点があり、核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD=Large Helical Device)が運転中である。また、ドイツではW7-X装置試験計画が進んでいる。
 慣性核融合炉を目ざした研究は、大阪大学の激光号などにより進められており、さらに、アメリカのローレンス・リバモア国立研究所の点火施設NIFによる点火実証実験計画も進みつつある。
 2013年の時点で、これらの各プラズマ閉じ込め方式を用いた核融合炉の設計が進められている。各方式による核融合炉は、磁場核融合炉では、トカマク型(図A)とヘリカル型(図B)ともに、炉心プラズマをブランケット(後述)と超伝導マグネットが囲み、慣性核融合炉(図C)では、ターゲットにビームを打ち込んで発生させた高密度プラズマの周囲をブランケットが囲む構造となっている。
 プラズマを閉じ込めて必要な核融合反応を起こすには多くの技術開発が必要である。磁場核融合炉では、プラズマを高温に加熱するとともに安定に保つ技術、慣性核融合炉では、レーザーなどの加熱ビームを正確に繰り返しターゲットに当てる技術などである。また、両方式に共通して、炉心のプラズマの状態を正確に診断する計測も重要な技術である。磁場核融合炉におけるプラズマの挙動や慣性核融合炉ターゲットでの物質状態の変化は基礎物理の分野でも先端的な研究テーマであり、理論研究・シミュレーションの役割が大きい(前出「プラズマ物理学」参照)。[室賀健夫]

ブランケットと材料

燃料であるトリチウムは天然にはほとんど存在しないので、核融合炉で自ら生産する必要がある。トリチウムは約12年の半減期で失われ、水素と同様に拡散する性質をもつため、効率よく生産、回収、貯蔵、利用する技術開発が必要である。トリチウムの生産には、リチウム(Li)という金属の中性子との以下の反応を利用する。
6Li+n→4He+T+4.8MeV
7Li+n→4He+T+n-2.47MeV
核融合炉では、炉心プラズマにおける反応で発生した中性子を利用し、周囲でリチウムと反応させて燃料トリチウムを生成回収するとともに、中性子のエネルギーを熱に変えて取り出す機能を有する機器で取り囲む必要がある。この機器をブランケットといい、エネルギー生産装置としての核融合炉の中核となる機器である。核融合反応で発生したエネルギーの大部分は中性子がもつので、中性子のエネルギーを高い効率で変換し発電することが工学的にもっとも重要な課題である。図Dは、ブランケットと発電システムの概略図である。
 ブランケットはおもに、以下の材料で構成される。
(1)トリチウム増殖材 中性子と反応しトリチウムを生成する材料。リチウムを含むセラミックスあるいは高温融体(液体金属あるいは溶融塩)が用いられる。前者を固体増殖材、後者を液体増殖材とよび、どちらを採用するかにより、ブランケットの構造が大きく異なる。
(2)中性子増倍材 トリチウム増殖を促進するために中性子を増やす機能をもつ材料。おもにベリリウムまたはその化合物が用いられる。
(3)冷却材 核熱反応によって発生した熱を炉外に取り出す材料。水、ヘリウムのほか、液体増殖材を用いるブランケットでは、液体増殖材が冷却材を兼ねるタイプ(自己冷却ブランケット)も考えられている。
(4)構造材 ブランケット全体の強度を維持するための材料(後述)。
(5)遮蔽材(しゃへいざい) 周辺の機器を放射線から守る材料。鋼材に中性子の遮蔽能力を上げるためホウ素を添加した材料や、水素化物、炭化物などが検討されている。
 以上の構成材料のうち、(4)の構造材は、高温、中性子照射環境で長期間強度を維持することが必要であるが、それに加え、使用後の処理処分の簡素化や再利用の必要性を考慮し、中性子照射による誘導放射能が低いか減衰が早い特性が必要であり(低放射化材料)、放射化しやすい元素を除去した鉄鋼材料、バナジウム合金、SiC系材料などの開発が進められている。
 これらの材料の組み合わせと構造を最適化するブランケット設計が広く行われている。それぞれのブランケットの要素技術開発が行われているが、中性子環境下での総合的な機能試験を行う計画として、ITERに試験モジュールを設置するITER-TBM(Test Blanket Module)計画が進行している。構造材料は中性子照射により強度特性が劣化するのでその評価が必要であり、そのための試験装置としてIFMIF(国際核融合材料照射施設)の工学設計が国際協力で進められている。[室賀健夫]

ダイバータ

磁場核融合炉では、プラズマ粒子が拡散すると周辺壁に衝突し、壁の損耗および多量の不純物放出が起こる。これを防ぐため、拡散する粒子を磁気面に沿って集めて、遠くに導き耐熱板で受け止めるダイバータという機器を設置する。ダイバータは高い密度のプラズマ粒子が衝突するので、熱負荷、粒子負荷に耐え充分な除熱性能を有する必要がある。これまでダイバータ板には耐熱衝撃に優れる黒鉛系の材料がおもに使用されてきたが、燃料トリチウムの保持量が多いこと、中性子照射による変形や熱伝導の低下などが懸念され、タングステンなどの金属系材料への期待が高まっている。[室賀健夫]

超伝導マグネット

磁場閉じ込め装置では、大型の超伝導マグネットを製作する必要がある。高磁場、高電流密度を可能とするマグネット技術開発が進められ、ニオブ‐チタン合金(NbTi)、ニオブ‐スズ合金(Nb3Sn)などによる線材、コイルが実用化している。将来的にはさらなる高磁場、高電流へ向けて、ニオブ‐アルミニウム合金(Nb3Al)、各種セラミックス系超伝導材の使用も検討されている。超伝導マグネットの製作技術に加え、冷凍技術、制御技術など関連技術の総合的な進展が図られている。[室賀健夫]

核融合炉の安全性

核融合炉は、核分裂炉に比べ、(1)核暴走が起こらない、(2)高レベル廃棄物を出さない、という本質的に優れた安全性の特徴を有する。しかし、トリチウムは弱いベータ線を発する放射性物質なので管理が必要であり、また中性子により機器が放射化するとともに、崩壊熱(炉の運転を停止しても核反応により継続する、材料からの発熱)のため運転後も冷却が必要という、安全にかかわる課題がある。核融合炉は万一の冷却材喪失や真空喪失が起こっても、内部の溶融などの事故につながらないよう設計されているが、低放射化材料、低崩壊熱材料などを用い、崩壊熱の自然冷却機能を高めることなどにより、さらに高い安全性を有するように設計の高度化と技術開発が行われている。[室賀健夫]

核融合原型炉への展望

磁場核融合に関しては、プラズマ加熱・閉じ込め研究とともに、各機器に関する研究開発が進められている。さらに、ITERによるD-T反応を起こす核燃焼試験、材料照射試験やブランケット機能試験などを経て、発電を実証する原型炉(DEMO)の設計、建設、運転を2030年代に行うことを目ざしている。慣性核融合炉に関しては、点火実証ののち、高効率化、爆縮の高繰返しを達成し、原型炉を目ざす計画である。[室賀健夫]

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世界大百科事典内の核融合炉の言及

【原子炉】より

…発生する熱エネルギーや放射線,あるいは中性子による核反応により生成される各種物質を得るために使用される。核融合反応のエネルギーを持続的に取り出す装置も原子炉と呼ぶこともあるが,一般には実用化している前者のみを指し,後者は核融合炉ということが多い。 核分裂とは,重い原子核が質量のあまり違わない二つの原子核に分裂する現象である。…

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