日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウィンターフェルト」の意味・わかりやすい解説
ウィンターフェルト
うぃんたーふぇると
Henry Winterfeld
(1901―1990)
ドイツの児童文学作家。ハンブルクに生まれ、1940年アメリカに移住したのちにドイツ語で書き始めた作品は好評をもって迎えられ、日本語のほかヨーロッパ各国語に翻訳された。突然親たちの消えた町を子どもたちが治めていく物語『子どもだけの町』(1948)をはじめ、古代ローマを舞台に少年探偵団の活躍する三部作『カイウスはばかだ』(1953)、『カイウスはひらめいた』(1969)、『カイウスはこまった』(1976)、あるいはガリバーの小人国に流れ着いた現代の少年少女の冒険を物語ってドイツ優良児童図書に選定された『リリパット漂流記』(1958)、転校してきた謎の少女を巡って一騒動もちあがる『ポニーテールは王女さま』(1967)など、けっして数は多くないが、彼の作品はどれも、奇抜な着想が、持ち前のストーリーテラーとしてのすぐれた才能によって生かされ、年少読者の心をとらえた。アスラという星から飛んできて、1日だけ地球に滞在を許された女の子と地球の少年少女との友情の物語『星からきた少女』(1956)もドイツ優良児童図書に選定され、作者自身これをもっとも重要な作品と考えている。ほかに、クラスの生徒たちの間に起こる珍騒動を描く『遅刻常習生徒』(1971)がある。
[関 楠生]
『大塚勇三訳『子どもだけの町』(1968・河出書房)』▽『関楠生訳『リリパット漂流記』『カイウスはばかだ』『星からきた少女』『ポニーテールは王女さま』『カイウスはひらめいた』(1967、68、69、69、70・学習研究社)』