日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウェーガン」の意味・わかりやすい解説
ウェーガン
うぇーがん
Maxime Weygand
(1867―1965)
フランスの軍人。ベルギーのブリュッセルに生まれ、外国籍のままサン・シール陸軍士官学校に入学し1888年フランスに帰化。第一次世界大戦中にフォッシュ元帥の参謀長として偉功をたてた。1920年ロシア赤軍の反攻にさらされたポーランドに軍事顧問として派遣され同国の危機を救った。1923年シリア高等弁務官、1930年陸軍参謀総長と要職を歴任し、1935年に退役したが、第二次世界大戦勃発(ぼっぱつ)とともに1939年近東軍総司令官に復帰。1940年5月敗色の濃いなかで連合軍総司令官に就任したが、ドイツとの休戦を主張し、同年ペタン対独協力政府の国防相、ついで北アフリカ軍総司令官となった。ドゴールにもドイツにも協力を拒んだため1942~1945年ドイツに抑留され、戦後は対独協力の容疑をかけられたが1948年無罪となった。1931年以来のアカデミー・フランセーズ会員で『フランス陸軍史』『回顧録』などの著書がある。
[平瀬徹也]