戦争中,交戦当事者の合意により戦闘を停止すること。交戦国の全戦線にわたって戦闘を停止する全般的休戦と,特定地域に限って停止する部分的休戦がある。前者は,通常,国の代表または軍の最高級の司令官の間で締結され,批准を要するが,後者は,現地軍司令官の間で締結され,通常,批准を要しない。休戦は平和条約と異なり,戦争状態を終了させる効果はなく,期間を定めない休戦の場合,当事者は敵に通告のうえ,いつでも戦闘を再開できる。休戦中,軍需品の補給や陣地の修復など非戦闘行為は許され,海上封鎖も解除されない。一方,当事者に重大な休戦違反があれば,相手方は休戦を破棄し,必要な場合には直ちに戦闘を再開できる。ただし個人的な違反については,処罰と損害賠償を要求できるにすぎない。なお,戦争の違法化に伴い,武力紛争の当事者が戦争状態の宣明を避け,その結果必ずしも平和条約によらず,休戦協定によって事実上武力紛争を終結させる事例が多くなっている。1949年のパレスティナ休戦協定,53年の朝鮮休戦協定,54年のジュネーブ協定などがこれに当たる。73年のベトナム和平協定のように,停戦が武力紛争の終結をもたらす例さえある。この種の休戦や停戦の場合,国際連合や第三国による休戦監視機関が設けられることが多い。ただ,その法的意義は未確定で,休戦違反を理由とする武力紛争再開の可能性も否定できない。
執筆者:田中 忠
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交戦当事者の合意により作戦行動を停止すること(1907年採択のハーグ陸戦規則第36条)。全面的休戦は、全戦域で交戦国のいっさいの敵対行為を停止し、通常、その間に平和条約の交渉が目ざされる。部分的休戦は、特定地域において交戦軍の一部に適用され、普通は短期間に限られる。もっとも最近、交戦当事者のみならず国際社会の一般的関心から、敵対行為の終結を目ざしその再開を防ぐため、国連のような第三者の監視機関を伴う休戦協定が結ばれる傾向にある。
[藤田久一]
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