フォッシュ(読み)ふぉっしゅ(英語表記)Ferdinand Foch

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フォッシュ」の意味・わかりやすい解説

フォッシュ
ふぉっしゅ
Ferdinand Foch
(1851―1929)

フランスの軍人。理工科大学校(エコール・ポリテクニク)を卒業して陸軍に入り、陸軍大学教授、ついで同学長を務めた。第一次世界大戦勃発(ぼっぱつ)(1914)に際して急造第九軍の司令官に任ぜられ、マルヌの会戦の奇跡的勝利に貢献した。その後、フランス北部軍司令官、参謀総長歴任。大戦末期の1918年春、新設の連合国軍最高司令官に任命され、連合軍の最後の大攻勢の指揮をとった。同年11月、パリ北方コンピエーニュの森での対ドイツ休戦条約調印の際、連合国を代表して署名した。翌1919年のパリ講和会議では、フランスの安全保障を理由にライン川左岸のドイツ領の併合を主張し、英仏両国のみならず自国のクレマンソー首相とも対立した。大戦末期に陸軍元帥に任ぜられたように、晩年はフランス陸軍の栄光を体現し、アカデミー・フランセーズ会員でもあった。

[平瀬徹也]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フォッシュ」の意味・わかりやすい解説

フォッシュ
Foch, Ferdinand

[生]1851.10.2. タルブ
[没]1929.3.20. パリ
フランスの軍人。第1次世界大戦の連合国側の勝利に最も貢献したとされる将軍。 1870年の普仏戦争に志願したが実戦には参加せず,翌年ナンシーのエコール・ポリテクニクで学び,74年第 24砲兵隊に登録。 85年より陸軍大学校で学び,95年同大学校軍事史講師,1908年同大学校校長となった。第1次世界大戦中は 14年のマルヌの戦い,アルトワの戦いなどで活躍。 17年 P.ペタン将軍に代りフランス軍総司令官となり,18年に連合軍総司令官に就任。同年ドイツ軍の攻撃の前に壊滅しかかった連合軍をアメリカの大規模な救援部隊の到着まで,戦線をよく保持し,巻返しに成功。同年8月フランスの元帥,23年5月ポーランドの元帥となり,20年のベルサイユにおける休戦交渉の連合軍委員会委員長をつとめた。未完の著『回顧録』 Memoires pour servir à1904-1918 (2巻,1931) がある。

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