精選版 日本国語大辞典 「うたてい」の意味・読み・例文・類語
うたて‐・い
- 〘 形容詞口語形活用 〙
[ 文語形 ]うたて・し 〘 形容詞ク活用 〙 - ① いやだ。情けない。ひどい。困った。
- [初出の実例]「宮づかへにとて出し立てたれど〈略〉常に思なげくと聞き侍れば、いとうたてくなん」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開上)
- 「よよと泣きければ、うたてしやな」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一)
- ② 気に入らない。変だ。よくない。なげかわしい。
- [初出の実例]「女ふしたるが、うたてくおぼゆれ、起くれば」(出典:落窪物語(10C後)一)
- ③ 心が痛むさま。気の毒だ。気がかりだ。
- [初出の実例]「ミヤノ ゴウンノ ホドガ vtatei(ウタテイ)」(出典:天草本平家(1592)二)
- ④ 気味が悪い。感じがよくない。異様だ。
- [初出の実例]「うたてひお年寄の分別顔」(出典:浮世草子・世間娘容気(1717)一)
うたていの語誌
副詞「うたて」の形容詞化。中古、「うたてあり」にやや後れて発生。中世、シク活用が現われ、「平家物語」には両活用が混在し、「日葡辞書」も両形を併記する。近世、江戸語では衰退した。
うたていの派生語
うたて‐が・る- 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙
うたていの派生語
うたて‐げ- 〘 形容動詞ナリ活用 〙
うたていの派生語
うたて‐さ- 〘 名詞 〙