気味(読み)キミ

デジタル大辞泉 「気味」の意味・読み・例文・類語

き‐み【気味】

ある事態物事から受ける感じ。また、その感じた気持ち。きび。「気味が悪い」
「総て―のよい、きらびやかな、うつくしい、月は」〈二葉亭訳・めぐりあひ〉
いくらかその傾向にあること。「かぜの気味がある」
香りと味。
のど渇き口損じて、―も皆忘れにけり」〈盛衰記一一
物事の趣。味わい。→気味ぎみ
閑居の―もまた同じ」〈方丈記
[類語]傾向傾き性向趨勢すうせい趨向すうこう動向流れ大勢たいせいトレンド動き大局成り行き形勢旗色情勢

き‐び【気味】

《「きみ」の音変化。また「び」は「味」の漢音とも》気持ち。心持ち。
「―が悪くって居てもっても居られませんもの」〈漱石・琴のそら音〉

ぎ‐み【気味】

[接尾]名詞動詞連用形に付いて、そのような傾向やようすがある意を表す。「風邪気味」「焦り気味」「太り気味

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「気味」の意味・読み・例文・類語

き‐み【気味】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 物のにおいと味。多く食べる物について用いられる。きび。
    1. [初出の実例]「水上の景色は彼も此も同けれども潮海の淡鹹は気味是異なり」(出典:海道記(1223頃)橋本より池田)
    2. 「喉乾き口損じて、気味(キミ)も皆忘れにけり」(出典:源平盛衰記(14C前)一一)
    3. [その他の文献]〔杜甫‐謝厳中丞送乳酒詩〕
  3. おもむき。けはい。風味。また、特に、深くてよい趣や味わい。きび。
    1. [初出の実例]「閑居の気味もまた同じ」(出典:方丈記(1212))
    2. 「人事おほかる中に、道をたのしぶより気味ふかきはなし。これ実の大事なり」(出典:徒然草(1331頃)一七四)
    3. 「酒にはげたる頭成らん 双六の目を覗出る日ぐれ方 気味(キミ)の句也。終日、双六に長ずる情以て、酒にはげぬべき人の気味を付たる也」(出典:俳諧・三冊子(1702)赤双紙)
    4. [その他の文献]〔白居易‐寒食江畔詩〕
  4. 心身に感じること。また、その感じた心持。気持。きび。多く、「良い」「悪い」を伴って用いられる。
    1. [初出の実例]「小判一万両、おお、よいきみよいきみ」(出典:歌舞伎・傾城壬生大念仏(1702)上)
    2. 「何か可厭(いや)な事のあるのを裹(つつ)むのではあるまいかと気味(キミ)を悪がって」(出典:二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉上)
  5. いくらかその傾向にあること。また、その傾向。かたむき。きび。
    1. [初出の実例]「薬の病にきく処は呪禁(まじなひ)の気味が有る故」(出典:志都の岩屋講本(1811)上)

き‐び【気味】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「きみ(気味)」の漢音よみとも、「きみ(気味)」の変化した語ともいう )
  2. 物のにおいと味。きみ。
    1. [初出の実例]「気味 飲食部 キビ」(出典:色葉字類抄(1177‐81))
  3. おもむき。また、様子。きみ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「よききびにかひしうつらの高音哉〈肥前衆〉」(出典:俳諧・毛吹草(1638)六)
  4. 心持。気持。気分。きみ。
    1. [初出の実例]「一口くふてみたひきびか有よ」(出典:虎明本狂言・萩大名(室町末‐近世初))
  5. いくらかその傾向にあること。また、その傾向。きみ。

ぎ‐み【気味】

  1. 〘 接尾語 〙 名詞や、動詞の連用形に付いて名詞、形容動詞をつくり、そのような様子、傾向にあることを表わす。…の様子。「かぜ気味」
    1. [初出の実例]「前方へ曲(こご)み気味に、叔父をよく見ようとするやうな眼付をした」(出典:家(1910‐11)〈島崎藤村〉下)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「気味」の読み・字形・画数・意味

【気味】きみ

おもむき。けはい。風味。唐・杜甫〔厳中丞の青城山の道士の乳酒一瓶を送られしを謝す〕詩 山酒、雲より下る 氣味濃香にして、幸ひにしてたる

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