日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウラン合金」の意味・わかりやすい解説
ウラン合金
うらんごうきん
ウランを主体とし、これにほかの金属または非金属元素を加えた合金。ウランは核燃料以外には工業用途が乏しいので実用合金はすべて核燃料用を目標としている。合金にすることにより、溶けるまでにα(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)と3相に変態するのを改善してγ相を安定化するため、モリブデン10%のように体心立方金属を多量に加えるγ合金と、α相にごく少量の他元素を加えて照射に伴う成長、しわ変形や核分裂生成物のガスによる膨れを軽減するα合金とがある。α合金の場合は天然ウランでもよいが、γ合金にするとウラン235が著しく希釈されるので、濃縮ウランを用いる必要がある。なお、アルミニウムにウランを加えて、アルミの地に金属間化合物を分散させた形の核燃料や、ビスマスなどにウランを加えて液体燃料として使うものも、広くウランの合金といわれることもある。
[三島良續]