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天然ウランに含まれる核分裂性の235Uの同位体存在度は0.71% にすぎない.そこで核分裂連鎖反応を起こしやすくするために,同位体効果を利用して人工的に235Uの含有率を高めたものをいう.一般に,ガス拡散法を用いて濃縮を行っているが,これは,約60 ℃ で六フッ化ウランの気体を隔膜に通すと,通過した気体中に235Uが濃縮されるという原理にもとづく.濃縮度が増すにつれて,含有率1% 以下のものを微濃縮ウラン(slightly enriched uranium),数% 以下のものを低濃縮ウラン(low enriched uranium),90% 以上に達するものを高濃縮ウラン(highly enriched uranium)とよんで区別する.また,EU,SEU,HEUなどの記号によって,それらのだいたいの濃縮度を示すこともある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…天然に存在するウラン(天然ウラン)は,質量数234,235,238の3種の同位体から構成されており,これに含まれる核分裂性の235Uの割合はわずか約0.7%にすぎず,約99.3%は非核分裂性の238Uである。ウラン濃縮によって235Uの割合を高めたものを濃縮ウランenriched uraniumと呼ぶ。天然ウラン,濃縮ウランはともに核燃料として使用される。…
…日本では,新型転換炉とよばれる原子炉がこのために運転中である。
[燃料ウランの種類による違い]
原子炉の設計・運転の考え方によって核燃料サイクルの基本構成が変わってくるいま一つの点は,その原子炉で用いられるUが天然ウランか濃縮ウランかの違いである。軽水炉では中性子が減速材である軽水に吸収されむだに消費される割合が高いため,中性子の発生割合を高めておく必要があり,235Uの比率が2~3%の濃縮ウランを用いる。…
…核分裂現象発見の論文が発表されたのが1939年1月で,科学者を代表してアインシュタインがローズベルトへ書簡を送ったのが同年8月であった。 マンハッタン計画では,まず,235Uの濃度の高い濃縮ウランをつくることが最大の課題となった。何百例という技術的方法が検討され,最終的に1944年,ガス拡散法とよばれる方法の開発に成功,翌45年,テネシー州オーク・リッジのウラン濃縮工場から最初のガス拡散法による濃縮ウランが送り出された。…
※「濃縮ウラン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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