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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…もともとは動詞idein(見る)に対応して〈みめ〉〈姿〉〈形〉を意味するギリシア語。プラトン哲学において〈エイドスeidos〉(この語も同根同義)とともに〈真実在〉を指すのに用いられ,これに関するプラトンの学説がイデア論と呼ばれる。ただし,〈イデア〉や〈エイドス〉がその意味での哲学用語として固定化されたのはアリストテレス以降のことであり,プラトン自身は専門用語として統一的に使用しているわけではない。…
… プラトンのイデア論とイオニアの自然学とをある意味で統合したのがアリストテレスである。イデアを個物の本質としての〈形相(エイドス)〉としてとらえ,同時にイオニアの自然学がとりあげていた物質的構成要素を,素材としての〈質料(ヒュレー)〉として組み入れ,いっさいの存在をこうした〈形相〉と〈質料〉の不可分な結合において把握するのである。さらに彼はこの形相―質料という対概念を,みずからの生物学研究から得られた〈発展〉の考えを媒介することによって,いっそう動的な現実態―可能態の対概念としてとらえかえす。…
…つまり人間をもしそれが何であるか,と問う観点からみれば人間の〈本質essentia〉が問われ,同じ人間をそれは存在するかどうかを問う観点では人間の〈実存existentia〉が尋ねられているのであるが,個々の具体的な人間は,この本質と実存との不可分的合体である。そしてプラトンはこの本質をイデアと呼び,アリストテレスやトマス・アクイナスはこれを形相(エイドス)と呼んだ。この形相が人間を人間として規定して,犬や樹木や石から人間を異ならしめる。…
…有用,有害な生物を近似のものから区別することは必要な生活の知恵だったからである。アリストテレスは種をよく似た個体の集りで,それ以上細かく分けられないようなグループと定義し,エイドスeidosという語で表した。そして種の集りを属とし,個々の種について記載するときには,属の部分で共通の特徴を,種では個別の特徴を述べるようにした。…
…このイデアは生成消滅するフュシスを超越して,永遠に同一でありつづける超自然的超時間的存在者である。そして,プラトンの考えでは,すべての存在者は〈形相(エイドスeidos)〉と〈質料=素材(ヒュレhylē)〉の結合体なのであるが,その存在者の〈何であるか〉を規定するのは,イデアを分有し,いわばその模像である形相である。したがって,存在者の〈何であるか(本質)〉はそれ自体では変化をまぬがれており,生成消滅するのはその質料的部分だということになる。…
…それは今日の言葉でいえば,個人や国家共同体の,精神的主体性の〈よさ〉が求められたということである。〈よさ〉とは,あるべき姿,すなわち善美であること(カロカガティア)であるが,プラトンにおいて,善や美は,〈イデアidea〉あるいは〈エイドスeidos〉とせられた。イデアあるいはエイドスとは,ともに〈見るidein〉という動詞に由来し,〈見られたもの〉を,したがって見られたものの〈かたち(形)〉,あるいは〈すがた(相)〉を意味する。…
…こうしたアニミズムは文明人の思考のうちにも強く痕跡を残している。(2)古代ギリシア以来の一つの伝統として,物を形相(エイドスeidos)と質料(ヒュレhylē)の合成体とみる見方がある。プラトンのイデア論がその典型であるが,彼にあっては形相は超自然的原理(イデア)に由来し,質料は自然的なものとみられ,事物の〈何であるか(本質存在)〉は形相によって,それが〈あるかないか(事実存在)〉は質料によって決定されると考えられている。…
※「エイドス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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