エウェ族(読み)エウェぞく(その他表記)Ewe

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エウェ族」の意味・わかりやすい解説

エウェ族
エウェぞく
Ewe

ガーナ南東部とトーゴ南部に住む民族。ニジェール=コンゴ語派のクワ諸語に属するエウェ語を話す。人口は 300万以上と推定される。元来ナイジェリア西部の住民であったが,17世紀頃に3集団に分裂して現在地に住みついた。農業がおもな生業でヤムいも,とうもろこしなどを栽培する。海岸部では漁業も行い,織物,製陶,鉄細工も巧みで,また商取引も欠かせない経済活動である。社会構造は各氏族により差異があるが,核家族が基本単位で,父系リニージがいくつか集って集落をつくる。首長長老のなかから選ばれ行政と祭事を司る。中央集権的な統一国家は築かれなかったが,戦時には各氏族は同盟して団結した。ヨーロッパ文化の侵入によりリニージの協調関係は弱まったが,親族の相互援助の絆はまだ強く残っている。創造神や下級神トロウォを信仰する伝統宗教をもつが,キリスト教に改宗する者も多い。

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世界大百科事典(旧版)内のエウェ族の言及

【トーゴ】より

…【端 信行】
[住民,社会]
 北部のサバンナと南部の熱帯雨林という自然の区分と同じように,住民の構成も文化的にも言語系統の点でもはっきりと二分される。南部を代表するのはクワ語群に属するエウェ語を話すエウェ族Eweで,ガーナ南部やベニン南部にもまたがって居住している。トウモロコシ,ヤムイモ,アブラヤシ,キャッサバを栽培する農耕民で,最近ではイネやカカオも導入している。…

※「エウェ族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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