エウトロピウス(その他表記)Eutropius

改訂新版 世界大百科事典 「エウトロピウス」の意味・わかりやすい解説

エウトロピウス
Eutropius

ローマ宮廷の宦官生没年不詳。奴隷として生まれ,379年頃解放される。395年に皇帝侍従長となり,アルカディウス帝の信を得た。395年末スティリコと共謀してゴート人将校ガイナスにルフィヌスを殺害させたのち,東ローマ政府の実権を握り,399年には宦官として初めてコンスル就任。しかし皇妃エウドクシアの不興を買い,元老院にも嫌われて,同年ガイナスの策謀によりキプロスに追放された。この間,東部イリュリクムの管轄権をめぐってスティリコと,また司教裁判権等に関して教会勢力と対立した。
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関連語 後藤

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エウトロピウス」の意味・わかりやすい解説

エウトロピウス
Eutropius

4世紀のローマの歴史家。ユリアヌス帝のもとペルシア遠征ロムルスからヨウィアヌス帝までを扱った『ローマ史概説』 Breviarium ab urbe condita (10巻) を著わした。

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世界大百科事典(旧版)内のエウトロピウスの言及

【ラテン文学】より

…こうして古典ラテン文学はキリスト教徒の手によって中世に伝えられていく。 世俗文学も,往年の光輝はないけれども,4世紀後半から5世紀前半にかけて再生し,タキトゥス以後の歴史を執筆したアンミアヌス・マルケリヌス,ローマ史の概要を書いたエウトロピウスEutropius,皇帝伝のアウレリウス・ウィクトルAurelius Victorなどの歴史家が出た。しかし世界史概要を著したオロシウスはアウグスティヌスの影響を受け,叙事詩の韻律で《モーゼル川》を書いた詩人・修辞学者アウソニウスは,キリスト教徒であって,キリスト教徒による世俗文学の開祖とされるように,世俗文学の側からもキリスト教との握手が始まっている。…

※「エウトロピウス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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