ロムルス(読み)ろむるす(英語表記)Rōmulus

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロムルス」の意味・わかりやすい解説

ロムルス
ろむるす
Rōmulus

ローマを建設し、初代の王となった伝説的英雄。ローマの名は、自らの名を冠してつけたとされる。トロヤの英雄アイネイアス(アエネアス)の血統を継ぐアルバロンガの王ヌミトルの娘レア・シルウィアと、軍神マルスとの間に生まれ、レムスとは双子の兄弟である。

 ヌミトル王の弟アムリウスは兄の王権を奪い、姪(めい)であるレアが子供を産むのを恐れて彼女をウェスタの巫女(みこ)にするが、彼女は森でマルスに犯されて、ロムルスとレムスの双子を出産する。アムリウスはこれを知ってレアを殺し、子供たちをティベル河岸に捨てるが、2人は牝(めす)の狼(おおかみ)に乳を与えられ、やがて牧人のファウストゥルスに拾われて養われ、成長する。ある日レムスがアムリウスの家畜を奪って捕らえられると、ファウストゥルスから自分の素性を聞いたロムルスは、アルバに直行してアムリウスを討ち、父を王に復帰させた。その後ロムルスとレムスはローマの地に新都市建設を計画するが、用地の選択をめぐって争い合い、鳥占いに審判をゆだねる。レムスが六羽、ロムルスが12羽の鷹(たか)を見たことから、ロムルスが神によって是認され、未来の都市の境界を定めたが、レムスがそれを無視したためにロムルスは怒って彼を殺した。

 こうしてロムルスは支配者となるが、女性不足で新都市の人口が減少すると、隣国サビニ人コンススの祭りに招き、彼らの多くの娘を略奪した。怒ったサビニ人はティトゥス・タティウス王を先頭にローマに攻め込むが、ユピテル(ローマの神界の主神)の助けを受けたローマ人の前に敗北してしまう。しかしロムルスは、タティウス王にもローマの支配権を与えて共同で統治し、タティウスの死後は1人でローマとサビニの両民族を長く支配した。

[小川正広]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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