日本大百科全書(ニッポニカ) 「エグリトビケラ」の意味・わかりやすい解説
エグリトビケラ
えぐりとびけら / 刳飛螻
刳石蚕
昆虫綱トビケラ目エグリトビケラ科の昆虫の総称、またはその1種。この科は北半球の冷温帯を中心に分布するトビケラ目の最大のグループで、日本には約40種が知られている。最大の種は和名エグリトビケラNemotaulius admorsusで、体長約25ミリメートル、成虫の翅長(しちょう)30ミリメートル以上。日本各地に分布し、頭部は黄褐色で腹部は褐色。前翅は細長く、半透明で、中央部に太い透明な斜帯紋があり、外縁はえぐれて波状をなしている。近縁種にコエグリトビケラやクロツツトビケラなど、体長5ミリメートル内外の小形種も多い。これらの幼虫はすべて水中生活をし、池沼や河川にすみ、植物片や砂粒でミノムシのような円筒形の巣をつくる。餌(えさ)はおもに落ち葉などの有機物で、淡水域の分解者として生態的に重要な役割を果たしている。
[谷田一三]