日本大百科全書(ニッポニカ) 「エコアジア」の意味・わかりやすい解説
エコアジア
えこあじあ
ECO ASIA
正式名称は「アジア太平洋環境会議」。英語では、Environment Congress for Asia and the Pacific。環境省が主催したアジア太平洋地域の非公式の環境大臣会合で、同地域における環境協力の推進と持続可能な開発の実現に貢献することを目的としていた活動。同地域諸国の環境担当大臣を含む政府関係者、国際機関、民間団体、学識経験者などが個人の立場で参加していた。
1991年(平成3)の第1回会合から2008年(平成20)の第16回会合まで、日本各地で開催されたが、その後活動は行われていない。第16回会合では、2010年に名古屋で予定されていた生物多様性条約第10回締約国会議に向けて、生物多様性国家戦略の重要性、「SATOYAMAイニシアティブ」の推進、生物多様性に対する認識の社会における主流化などを含む議長報告書がまとめられた。SATOYAMAイニシアティブとは、世界各地で失われつつある里山のような二次的自然の重要性を再認識し、その持続可能な利用・管理を目ざすために日本政府が提唱した取り組みであり、生物多様性条約第10回締約国会議の決定32(生物多様性の持続可能な利用)において効果的な取り組みの一つとして推奨されており、相前後して創設されたSATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップによって運営されている。
なお、エコアジアに関連するプロジェクトとして、アジア太平洋環境イノベーション戦略プロジェクト(APEIS:Asia-Pacific Environmental Innovation Strategy Project)、アジア太平洋環境開発フォーラム(APFED:Asia-Pacific Forum for Environment and Development)、およびアジア太平洋環境情報ネットワーク(エコアジアネット)も展開された。
[磯崎博司]