エスパルト(英語表記)esparto grass
Spanish grass
Stipa tenacissima L.

改訂新版 世界大百科事典 「エスパルト」の意味・わかりやすい解説

エスパルト
esparto grass
Spanish grass
Stipa tenacissima L.

イネ科の多年草で,日本ではなじみが薄いが,世界的にはパルプ原料その他の用途に注目されている。茎は密生し,高さ90~120cm,円筒形で短毛があり,株まわりは60cmから3mほどまでになる。葉は長さ10cmから1mまでいろいろで,灰緑色である。茎頂に穂をつけ,小穂は1花よりなる。スペイン南部とアフリカ北部に分布する。海岸の乾燥・強光の岩の多い不毛地帯に生じ,ムルシア,バレンシア,アルジェリア地方にとくに多い。若い茎葉は乳牛飼料としてすぐれている。茎葉は繊維に富み(重量の56%),柔軟かつ強靱であるため,ロープバスケットサンダル,マットなどに加工され,とくに船舶用ロープとして優秀である。茎からパルプをとり,軟らかく半透明で,じょうぶで軽い高級印刷用紙を製する。
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百科事典マイペディア 「エスパルト」の意味・わかりやすい解説

エスパルト

アルファソウとも。スペイン南部やアフリカ北部に産するイネ科の野生の草。英国での重要な製紙原料。これから作った紙は嵩(かさ)高く,軽く,印刷・筆記用にする。
→関連項目コットン紙

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