サンダル(読み)さんだる(英語表記)sandal

翻訳|sandal

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンダル」の意味・わかりやすい解説

サンダル
さんだる
sandal

履き物一種。足をのせる底と、それが足から離れないようにするための紐(ひも)やベルトからなる、足の裏の保護を主とする開放的な履き物。モカシンとともに履き物の原型の一つで、古代エジプトの遺品も発見されている。この時代のサンダル王族、貴族、僧侶(そうりょ)などに許され、その権威を示す一種のシンボルとなっていて、庶民ははだしであった。皮革パピルスや木を材料とし、金や宝石の装飾もあった。ギリシア時代には代表的な履き物となり、クレピスcrepisが男女ともに多く用いられた。木、皮革、草などを材料とし、刺しゅうを施したものもあった。ローマ時代にも盛んに用いられ、かかとが覆われたクレピダcrepidaが市民に、シュロ棕櫚)で編んだバクシアbaxeaが哲学者などに履かれた。サンダルの語源ギリシア語のサンダリオンsandalion、ラテン語のサンダリウムsandaliumである。西欧ではキリスト教文化が発展した中世に、閉塞(へいそく)的な履き物が用いられるようになり衰退したが、豊富な刺しゅうのものが王権のしるしや司教や大修道院長の公服の一部として残っていた。フランス革命後、古代ギリシア・ローマ風の服装の流行とともに一時用いられた。のち中断し、20世紀になって、海浜でのリゾート用や室内用として使われ始め、1930年代には、ヒールの高いサンダルも登場した。

 今日では、夏に女性や子供に好んで用いられるようになり、ことに日本ではこの傾向が強い。種類は服装の用途、目的によってさまざまで、あらゆる素材を用いて、ハイヒールできゃしゃなイブニング・サンダルevening sandalから、一般の外出用、海浜で履くビーチ・サンダルbeach sandalまである。また日本では、足の甲の部分に幅広のベルトをつけただけで、かかと部分に紐などのない履き物もサンダルといい、家庭内などで履かれている。近年はビニル製が多く、ヘップ履きともよばれている。サンダルは概して温暖な地方の履き物で、スペインやイタリア南部、メキシコなどで愛用されている。なお、日本の草履(ぞうり)や草鞋(わらじ)もサンダルの一種である。

[田中俊子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サンダル」の意味・わかりやすい解説

サンダル
sandals

甲の部分が紐やバンドでつくられている開放型はきものの一種。現存する最も古いはきもので,語源はギリシア語の sandalion (板の意) 。古代エジプト時代からあり,ギリシア・ローマ時代に多様化した。中世以後のヨーロッパでは閉鎖型の靴が用いられ,一時すたれたが,18世紀末から再び流行した。現在ではビーチサンダルから夜会用まで,材料では革のほか,布,イグサ (藺草) などのものもある。

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