日本大百科全書(ニッポニカ) 「エゾハリタケ」の意味・わかりやすい解説
エゾハリタケ
えぞはりたけ / 蝦夷針茸
[学] Climacodon septentrionale (Fr.) Karst.
担子菌類、サルノコシカケ目ハリタケ科の食用キノコ。北方系の菌で、ブナ、イタヤカエデなどの幹に生える。全体に純白色。傘は半円形で、幅5~10センチメートル、厚さ1センチメートルほど。傘は多数重なり合い、根元で上下癒着するので、全体としては30センチメートルを超える大きな塊となる。傘の下面には無数の針が密生する。乾くと軟骨のように硬くなる。冬山では積もった雪の重みで落下し、山男の肝を冷やすことがあるため、ヌケオチ、ヌキウチなどの名でよばれる。なまのキノコはそのまま料理して食べ、塩蔵したものは粕(かす)漬け、みそ漬けにする。おもしろいのは、乾いて硬い軟骨質になったものの食べ方である。まず、落ち葉や干し草などを湿らせ、その中に乾いたエゾハリタケを埋め、なかば腐らせる。次に、これを洗って塩漬けにし、のちに塩出ししてみそ漬けとする。べっこう色で歯切れのよい珍味となり、酒の肴(さかな)とする。
[今関六也]